8月に食料品の消費税1%が閣議決定という記事を書きました。そのとき僕は「次の節目は9月の税制改正大綱」と書いています。
その9月が来ました。2026年9月15日、政府が税制改正大綱を閣議決定しました。
正式名称は「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」。長い名前ですが、中身を見ると税率まわりはほぼ固まり、給付まわりはまだ骨組みだけという、前回とよく似た構図です。何が進んだのか整理します。
今回決まったこと
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 酒類と外食を除く飲食料品(軽減税率と同じ範囲) |
| 税率 | 1%(国税0.78%+地方消費税0.22%) |
| 期間 | 2027年4月1日〜2029年3月31日の2年間 |
| 外食 | 対象外。10%のまま据え置き |
| 新聞(定期購読) | 対象外。8%のまま据え置き |
| 給付の名前 | 「就業者負担軽減支援金」 |
| 給付の頻度 | 年1回、基準日は1月1日 |
| 受け取り方 | 公金受取口座を登録していれば申請不要(職権で認定) |
一番の進展は、「1%」の内訳が固まったことです。国税0.78%+地方消費税0.22%という、こまかい数字まで決まりました。
そしてもうひとつ。制度が動くと、税率が1%・8%・10%の3本立てになります。スーパーの惣菜(軽減税率の対象内)は1%、コンビニの店内飲食は10%、新聞は8%のまま。レジの表示が今より複雑になります。
給付のほうにも、ようやく**「就業者負担軽減支援金」という正式な名前**が付きました。8月時点では「中低所得者への給付」としか呼ばれていなかったので、これだけでも一歩前進です。
でも、一番知りたいことはまだ決まっていない
ここが今回も一番大事なところです。「1%」という税率は固まったのに、「いくらもらえるか」はまだ決まっていません。
①給付額そのものが未定
支援金の金額は、働いた所得や家族構成に応じて段階的に決まる「6ステップ方式」になる予定で、1,000円単位(端数切り上げ)で計算されると報じられています。ただしその具体的な金額表はまだ公表されていません。年末の予算編成・税制改正の議論を経て決まる見通しです。
②年収の線引きが未定
「中低所得の現役勤労者を中心に」という言い方は8月からほとんど変わっておらず、年収いくらから対象外になるかの具体的な数字はまだ示されていません。53万円・74万円・106万円という「壁」の数字が過去に議論の材料として挙がっていましたが、これらがそのまま採用されるかは9月時点でも確定していません。
③対象外の人への対応も先送り
支援金の対象にならない低所得の就業者や、病気・障害などで働けない人については、既存の生活困窮者支援制度との関係を整理したうえで、令和10年度中に結論を出すとされています。つまり、こちらは2年以上先の話です。
④法律はまだ成立していない
税制改正大綱は「政府としてこの内容で法案を出す」という意思決定であって、法律そのものではありません。政府は10月上旬に召集予定の臨時国会に関連法案を提出し、年内の成立を目指すとしています。国会を通らなければ、ここまでの話はすべて「案」のままです。
前回の記事で「まだ決まっていないのはこの4点」と書いた内容と、正直あまり変わっていません。大枠は前進したけれど、家計に直結する「金額」の話はまだ先送りというのが、9月時点の実際のところです。
正直に言うと、僕はこのニュースを見た瞬間「これで年末までにいくら得するか分かる」と思いました。でも記事にするために元の資料まで追いかけてみたら、決まっていたのは名前と税率だけで、肝心の金額表はどこにもありませんでした。見出しだけ読んで安心すると、ここでつまずきます。
財源の話も少し動いた
8月時点では「外国為替資金特別会計(外為特会)の活用案が浮上」という報じられ方でしたが、大綱では年4.3兆円の税収減を、特例公債(赤字国債)に頼らず確保するという方針が明記されました。補助金や租税特別措置の見直しで穴埋めする考えのようですが、具体的にどの補助金を削るかまでは示されていません。
ここも「方針は決まったが、中身はこれから」という、いつものパターンです。資材の発注でも、予算枠だけ先に決まって「どこを削るか」が後から降ってくることがよくあります。今回の財源探しも、たぶん似たような詰め方になるんじゃないかと見ています。
じゃあ、今何をすればいいのか
前回の記事でも書きましたが、今すぐやることは特にありません。実施は2027年4月ですし、給付額も年収の線引きもまだ決まっていないからです。
ただ、今回はっきりしたことがひとつあります。給付を当てにした家計計画は、まだ立てられない段階だということです。「就業者負担軽減支援金」という名前が付いたことで、あたかも制度が完成したかのように見えますが、財布にいくら入るかを左右する数字は、実は何も決まっていません。
年末の税制改正・予算編成のニュースで金額が出てきたら、そこがようやく「自分ごと」として計算できるタイミングです。それまでは、食費を月1万円削減する現実的な方法や、ふるさと納税で食費を節約する方法のような、今日から動かせる対策のほうが確実に効きます。
まとめ
- 2026年9月15日、消費税1%への引き下げを含む税制改正大綱が閣議決定された
- 対象は酒類と外食を除く飲食料品、税率は1%(国税0.78%+地方0.22%)、期間は2027年4月〜2029年3月の2年間
- 施行後は1%・8%・10%の3税率が併存する
- 給付には「就業者負担軽減支援金」という名前が付いた。年1回・基準日1月1日・公金受取口座があれば申請不要
- ただし給付額・年収の線引きはまだ未定。決まるのは年末の議論を経てから
- 財源は「特例公債に頼らない」方針だが、具体策は未定
- 法案はこれから。10月上旬の臨時国会に提出、年内成立を目指す段階
- 今やる1つ=給付を当てにせず、今できる食費対策を1つ進める
前回「次の節目は9月の税制改正大綱」と書きましたが、金額の話はまた次に持ち越しになりました。年末に給付額が出たタイミングで、また続報を書きます。
本記事は、NISA・家計改善を実践する会社員が、報道機関の公開情報をもとに執筆しています。
本記事は2026年9月21日時点の情報に基づいています。税制改正大綱は法律の成立を意味しません。制度の内容・実施時期・給付の対象と金額は、今後の国会審議により変更される可能性があります。最新情報は財務省・国税庁の公式発表をご確認ください。