これは、銀行や証券会社を通じた投資に興味はあるが、もっと高い利回りを求めている20〜40代の社会人のための話だ。
「銀行の定期預金に預けても年0.01%しか増えない。もっといい方法はないのか」——そう思って調べていたら「年利20%」という文字が目に飛び込んできた。DeFiと呼ばれる分散型金融の世界だ。しかし、同僚が「すごく儲かると聞いて」と飛び込み、3ヶ月で元本の40%を失った。高いリターンの裏には、それに見合うリスクが必ず存在する。
知らないまま放置するとどうなるか
銀行の定期預金に100万円を預けても、年間の利息はわずか100円だ。一方、DeFiのステーキング(後述)では年利5〜10%が期待できる商品がある。10年間の差を計算すると、銀行は1,001円の利息、年利7%のステーキングは96万円の利益になる。「知らないこと」のコストは、10年で約96万円だ。ただしリスクを理解せずに飛び込めば、96万円どころか元本を失う可能性もある。
1. DeFiとは何か——3行で理解する
DeFiは「Decentralized Finance(分散型金融)」の略で、「銀行を使わない金融サービス」のことだ。
通常、銀行はあなたの預金を企業に貸し出して利益を得る。DeFiではその仲介役をブロックチェーン上の自動プログラム(スマートコントラクト)が担う。手数料が安く、24時間稼働し、国境がない。その反面、失敗したときに補償する仕組みが一切ない。
2024年現在、DeFi市場全体のロック額(運用資金)は1000〜1500億ドル規模だ。
2. DeFiの主な4つのサービス
① レンディング(貸付) 暗号資産を他者に貸し出して利息を得る。Aave・Compoundなどが有名で年利5〜15%程度。ただし借り手が返済できなくなっても、銀行と違い保証はない。
② 流動性マイニング 取引市場に資金を提供し、手数料の一部を受け取る。Uniswapなどの分散型取引所で使われる仕組みだが、預けた資産の価格が急変すると「インパーマネント・ロス」という見えない損失が発生する。
③ イールドファーミング 複数のDeFiプロトコルを組み合わせ、利回りを最大化する戦略。月利10%のプロトコルで得た報酬を別のプロトコルに入れ直すなどの複合戦略だ。仕組みが複雑で、どこかで障害が起きると連鎖的に損失が広がる。
④ ステーキング 暗号資産をロック(一定期間固定)して、ネットワーク維持に貢献し報酬を得る仕組み。4つの中で最もシンプルで、初心者が最初に検討すべきサービスだ。年利5〜10%程度が期待できる。
「自分には難しすぎる」と感じた方へ。 最初から4つ全部を理解する必要はない。「ステーキングだけ」に絞って学べば、月10分の確認だけで運用を始められる。複雑なサービスは知識が積み上がってから手を出せばいい。
3. DeFiを始める前に守る3つのルール
ルール①:月の手取りの5%以下の余裕資金で始める 月給40万円なら最大2万円から始める。失っても生活に支障がない金額に抑える。生活費を回してDeFiに投資するのは投資ではなくギャンブルだ。
ルール②:1つのプロトコルに全額を集中させない 3〜5個の異なるプロトコルに分散する。1つがハッキングされても全額を失わないための設計だ。DeFiのハッキング被害は2022年だけで約40億ドル(約5600億円)に上った。
ルール③:スマートコントラクトのリスクを常に意識する DeFiは自分自身が銀行だ。秘密鍵を失えば資産は永遠に戻らない。バグや脆弱性によるハッキングが起きても、補償してくれる機関は存在しない。
「リスクが怖くて手が出せない」と感じた方へ。 怖いと感じることは正しい感覚だ。ステーキングに月5000円だけ入れ、半年間動かず観察するところから始めるだけでいい。「理解してから増やす」が鉄則だ。
今日できる最小アクション
「DeFi Llama(defillama.com)」というサイトを開き、ステーキングの利回りランキングを5分間見るだけでいい。入金は不要。まず「どんな利回りがあるか」を自分の目で確かめることが最初の一歩だ。
次の記事では「NFTの現状と投資としての可能性」について、急拡大後に縮小したNFT市場の今を数字で解説する。
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