新NISAが始まって「生涯1,800万円の非課税枠」という言葉をよく聞くようになりました。
「1,800万円全部埋めたい」と思いましたが、年収400万円の会社員の私には「1,800万円なんて一生無理では」という感覚でした。
でも冷静に計算してみると、「普通の会社員でも現実的なプランがある」と分かりました。
新NISAの枠の整理
まず新NISAの制度を整理します。
新NISAの構造:
| 区分 | 年間投資上限 | 生涯上限 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| つみたて投資枠 | 120万円/年 | 1,800万円(共通) | 長期積立向け投資信託 |
| 成長投資枠 | 240万円/年 | 1,200万円(上限あり) | 株式・幅広い投資信託 |
| 合計 | 360万円/年 | 1,800万円 | 非課税保有 |
- 年間最大360万円(つみたて120万 + 成長240万)
- 生涯上限1,800万円を全部使うには最速5年(360万 × 5)
- つみたて投資枠のみなら最速15年(120万 × 15)
旧NISAと違い、売却すると翌年に枠が復活するという大きな特徴があります。
1,800万円を埋めるのに何年かかるか
年収・積立可能額別に試算しました。
年収300万円(手取り約240万円)
- 月の手取り:約20万円
- NISA積立可能額の目安:月2〜3万円(手取りの10〜15%)
- 年間積立:24〜36万円
- 1,800万円埋めるまで:50〜75年(現実的ではない)
年収400万円(手取り約310万円)
- 月の手取り:約26万円
- NISA積立可能額の目安:月3〜5万円
- 年間積立:36〜60万円
- 1,800万円埋めるまで:30〜50年
年収500万円(手取り約385万円)
- 月の手取り:約32万円
- NISA積立可能額の目安:月5〜8万円
- 年間積立:60〜96万円
- 1,800万円埋めるまで:19〜30年
年収700万円(手取り約530万円)
- 月の手取り:約44万円
- NISA積立可能額の目安:月10〜15万円
- 年間積立:120〜180万円
- 1,800万円埋めるまで:10〜15年
「全部埋める」ことにこだわらなくていい理由
「1,800万円を全部埋めなければいけない」という義務感を持つ必要はありません。
理由は2つです。
①1,800万円は「上限」であり「目標」ではない
生涯1,800万円の非課税枠は「最大でもこれだけ非課税で使える」という上限です。
500万円でも1,000万円でも、自分が積み立てた分だけ非課税の恩恵を受けられます。
「埋めなかった枠 = 損した」ではなく、「積み立てた分は全て非課税で運用できる」という捉え方が正確です。
②老後資金の目標額から逆算した方が合理的
「老後に2,000万円必要」「65歳時点で3,000万円が目標」という具体的な目標から積立額を決める方が、「1,800万円埋める」より現実的な計画になります。
年収別の現実的な積立プラン
「老後(65歳)に向けて資産形成する」という目標で、年齢別の積立プランを試算します。
30歳から始めた場合(投資期間35年)
月3万円積立 × 年利5% × 35年: → 約3,060万円(元本1,260万円、利益約1,800万円)
月2万円積立 × 年利5% × 35年: → 約2,040万円(元本840万円、利益約1,200万円)
月1万円積立 × 年利5% × 35年: → 約1,020万円(元本420万円、利益約600万円)
35年という時間があれば、月1万円〜3万円という「普通の会社員が無理なく積立できる範囲」で老後資金を作れます。
40歳から始めた場合(投資期間25年)
月5万円積立 × 年利5% × 25年: → 約3,050万円(元本1,500万円)
月3万円積立 × 年利5% × 25年: → 約1,830万円(元本900万円)
月2万円積立 × 年利5% × 25年: → 約1,220万円(元本600万円)
40代から始めても25年あれば十分な資産形成が可能です。
つみたて投資枠と成長投資枠の使い分け
新NISAには2つの枠がありますが、使い方のポイントは:
つみたて投資枠(月10万円まで)
長期積立・分散投資に適した投資信託が対象です。
毎月自動積立の設定ができ、「ほったらかし投資」に最も向いています。
全世界株式インデックス(オルカン)やS&P500インデックスがここに入ります。
成長投資枠(年240万円まで)
個別株・より幅広い投資信託・REITなどが対象です。
まとまった資金を一括投資したいときや、個別株を試したいときに使います。
基本方針:
投資初心者や「ほったらかし運用希望」の場合は、つみたて投資枠だけで始めるのがシンプルです。
成長投資枠は「余裕資金があり、もう少し積極的に運用したい」場合に追加で使います。
「枠の復活」をどう活用するか
新NISAの大きな特徴の一つが「売却すると翌年に非課税枠が復活する」ことです。
これにより、旧NISAでは「一度使った枠は使い切り」だったのが、「使い回しができる」ようになりました。
活用例:
教育資金の引き出し → 大学進学時(18歳)にNISA内の投資信託を売却して教育費を確保 → 売却した分の枠が翌年復活するため、また積立を再開できる
住宅購入の頭金 → 必要な時期に売却して住宅購入資金に充てる → その後また積立を再開する
これにより、NISAは「老後資金専用」ではなく「人生全体の資産管理ツール」として使えるようになりました。
1,800万円より大切なこと
最後に、「1,800万円の枠を埋める」より大切なことを書きます。
①まず始めること
1,800万円という大きな数字に怖気づいて「いつか始めよう」と思っているより、月1万円でも今日から始める方が重要です。
複利は時間が長いほど効果が大きい。1年の遅れが、10年後・20年後に大きな差になります。
②続けること
相場が下がったときに積立をやめない。「下がっているときも買い続ける」ことが長期積立の効果を生み出します。
③生活防衛資金を確保した上で積み立てること
NISA積立は「余剰資金」で行うのが基本です。生活費3〜6ヶ月分の現金を確保した上で、残りをNISAへ。
急な出費でNISAを売却しないで済む状態を作ることが、長期積立を続ける条件です。
マネーフォワード ME
NISA・iDeCoの残高と積立状況を一括管理できます。「今いくら積み上がっているか」「目標額まで何年かかるか」の把握に役立ちます。老後資金形成の進捗確認にどうぞ。