「Amazonからのお知らせです」というメール、最近見かけませんでしたか。
僕のところにも似たような件名のメールはちょくちょく届きます。
本物か偽物か、正直そのつど確かめるのは面倒で、忙しいときはつい開いてしまいそうになる自分がいます。
今回、フィッシング対策協議会が2026年8月17日に公開した2026年7月の月次報告書を見て、その面倒くささを放置しておくのがどれだけ危ういか、数字で突きつけられました。
Amazonをかたるフィッシングが24%→37%に急増していた
フィッシング対策協議会の発表によると、2026年7月に寄せられたフィッシング報告は合計66,119件でした。
前月(6月)の72,370件からは6,251件減り、割合にして約8.6%の減少です。
報告の総数は減っているのに、Amazonをかたる報告の割合だけは逆に増えています。
6月はAmazonが約24.0%でトップ、2位がVISAの約11.8%、3位がAppleの約11.6%でした。
これが7月になると、Amazonが約37.0%まで跳ね上がり、2位のApple(約11.8%)にダブルスコア近い差をつけています。
3位はセゾンカードの約7.7%で、これにJCB・イープラスを加えた上位5ブランドで、全体の約68.6%を占めたと公表されています。
単純計算すると、7月の66,119件のうちAmazonをかたるものはおよそ24,500件前後になる計算です(66,119件×37.0%で試算)。
全体の報告件数が1割近く減る中で、Amazonへの集中だけが13ポイント以上も上がった、という点が今回のデータの核心です。
分野別でみると、EC系(通販サイト系)が約50.5%、クレジット・信販系が約25.4%、オンラインサービス系が約7.5%、航空系が約4.6%、決済サービス系が約2.4%、交通系が約2.1%でした。
EC系とクレジット・信販系の2分野だけで、報告全体の約75.9%を占めています。
つまり今、あなたのメールボックスに届く怪しいメールの4通に3通近くは、「通販サイト」か「クレジットカード」のどちらかを名乗っている、ということです。
なぜAmazonとカード会社が集中的に狙われるのか
僕は製造業で資材の発注を担当しているんですが、発注先を選ぶときに考えるのは「相手にとって、これはどれだけ得か」という一点です。
フィッシング詐欺をしかける側も、たぶん同じ発想で「効率のいい相手」を選んでいます。
Amazonは国内で最も利用者が多いネット通販サービスのひとつで、ほとんどの人が「Amazonからメールが来ても不思議ではない」状態にあります。
だからこそ偽メールを送っても、開いてもらえる確率が高いわけです。
しかもAmazonのアカウントには、クレジットカード情報や住所、購入履歴が紐づいています。
ログイン情報さえ抜ければ、そのまま不正利用や別サービスへの使い回しにつながりやすい。
クレジット・信販系が2位に来ているのも、同じ理由です。
カードの利用停止や不正利用の通知は「急いで確認しないと」という気持ちにさせやすく、冷静な判断を鈍らせます。
セゾンカード・JCBが名指しで上位に入っているのも、単純にカード会員数が多いブランドほど、それだけ標的にされやすいということだと僕は理解しています。
見分け方——「開かない」より「確認する順番」を変える
フィッシングメールの文面は年々巧妙になっていて、正直、文面だけで見抜こうとするのはもう限界があるとうすうす感じとうます。
僕が今心がけているのは、文面を疑う前に「確認する順番」そのものを変えることです。
- メール本文中のリンクは、基本的にクリックしない
- Amazonやカード会社を確認したいときは、ブラウザのブックマークか公式アプリから自分でアクセスする
- 「アカウントが一時停止されました」「支払い情報の更新が必要です」など、急かす文面ほど一度立ち止まる
- 送信元のメールアドレスを確認する(表示名は偽装できても、実際のドメインまでは完全には偽装しにくい)
- カード会社からの利用確認は、メールのリンクではなく、カード裏面の公式番号に自分でかけ直す
「本文をよく読んで見分ける」より、「本文を読む前に経路を変える」ほうが、忙しいときでも失敗しにくいと感じています。
これなら、文面がどれだけ巧妙になっても影響を受けません。
「未払い料金があります」からコード決済アプリの送金画面に飛ばそうとする手口についても、以前の記事で見分け方の一線を整理しています。あわせて確認しておくと安心です。
もし開いてしまった・情報を入力してしまったら
うっかりリンクを開いてしまっただけなら、まだ被害は出ていません。
慌てず、次の対応を順番にやってください。
- ID・パスワードを入力してしまった場合は、すぐに正規のサイト(自分でURLを入力するか公式アプリ)からログインし、パスワードを変更する
- クレジットカード番号を入力してしまった場合は、カード会社に連絡してカードを止める(不正利用があれば補償の対象になることが多い)
- 同じパスワードを他のサービスでも使い回している場合は、それらも変更する
- 不審なメールは、フィッシング対策協議会(antiphishing.jp)に情報提供できる
「入力してしまった自分が悪い」と黙り込んでしまう必要はありません。
今回のデータが示す通り、これだけ精巧なメールが月に6万件以上出回っている以上、誰にでも起こり得ることです。
「被災地支援」を装ったDMからPay詐欺に誘導される手口や、限定品を格安で売る偽通販サイトの手口も、根っこは同じで「急がせて、リンクを踏ませる」構造です。被災地支援を装う〇〇Pay詐欺の記事もあわせて読んでおくと、似た手口への耐性がつくと思います。
向かない人には、この話はあまり関係ありません
普段からメール内のリンクを一切踏まない、Amazonもクレジットカードも使っていない、という人には、正直今回の話はあまり刺さらないと思います。
すでに二段階認証を設定していて、パスワードもサービスごとに変えている人にとっても、今回の内容は目新しくはないはずです。
逆に、Amazonをよく使っていて、忙しいときにメールを流し読みしがちな人ほど、今回のデータは意識しておく価値があると思います。
まとめ
- フィッシング対策協議会の発表(2026年8月17日公開)によると、2026年7月のフィッシング報告は66,119件で、前月比8.6%減
- 報告全体は減っているのに、Amazonをかたる割合は6月の約24.0%から7月は約37.0%へ急上昇
- 2位Apple(約11.8%)、3位セゾンカード(約7.7%)、上位5ブランドで全体の約68.6%
- 分野別ではEC系約50.5%とクレジット・信販系約25.4%で、合わせて約75.9%
- 対策の核は「文面を見抜く」ではなく「メール内リンクを使わず、自分でアクセスし直す」に切り替えること
数字だけ見ると怖い話に思えますが、やることはシンプルです。
今日届いたAmazon(あるいはカード会社)からのメールがあれば、そのリンクではなく、いつも使っているアプリやブックマークから確認してみてください。
その一手間だけで、今回のデータが示すリスクのかなりの部分を避けられるはずです。
本記事は、家計改善を実践する製造業の会社員が、フィッシング対策協議会の公開情報をもとに執筆しています。
本記事は2026年8月時点の情報に基づいています。フィッシングの手口や統計は月ごとに変化するため、最新情報はフィッシング対策協議会(antiphishing.jp)の公式サイトでご確認ください。被害に遭われた場合は、利用しているサービスの窓口およびカード会社へ速やかにご連絡ください。