子どもができるとわかったとき、うれしさと同時に「お金、足りるんやろか」という不安がよぎる人は多いと思います。出産費用、産休・育休で減る収入、これからの育児費用——考え出すとキリがないですよね。
でも安心してください。会社員には、妊娠・出産・育児のそれぞれの場面でもらえるお金が、思った以上にちゃんと用意されています。中には2025年に新しくできた給付もあって、知らないと丸ごと損しかねません。
この記事では、会社員が出産・育児でもらえるお金を「何が・いくら・どんな条件で」もらえるのか、まとめて整理します(2026年時点の制度)。
出産・育児でもらえるお金は大きく4つ
会社員がもらえるお金は、ざっくり次の4本柱です。
- 出産育児一時金(出産費用への給付)
- 出産手当金(産休中の収入の補填)
- 育児休業給付金(育休中の収入の補填)
- 出生後休業支援給付金(2025年新設・育休給付への上乗せ)
それぞれ「いつもらえるか」「誰がもらうか」が違います。順番に見ていきます。
① 出産育児一時金——出産費用に50万円
出産育児一時金は、健康保険から支給される、出産費用をカバーするためのお金です。
- 金額:原則50万円(子ども1人あたり。双子なら100万円)
- **対象:**健康保険に入っている本人、または被扶養者(妻が夫の扶養に入っている場合も対象)
- **ポイント:**妊娠4ヶ月(85日)以降の出産であれば、流産・死産でも支給される
多くの病院では「直接支払制度」が使えます。これは、一時金の50万円を健康保険から病院へ直接支払ってもらう仕組み。窓口では「出産費用から50万円を差し引いた差額」だけ払えばよく、大きな現金を立て替えずに済みます。出産費用が50万円より安ければ、差額は後から自分に支給されます。
② 出産手当金——産休中の収入を補う
出産手当金は、産休(産前産後休業)で給料が出ない間の、収入の補填です。
- **金額:**1日あたり「標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 3分の2」。おおよそ給料の3分の2
- **対象期間:**出産日以前42日(双子などは98日)〜出産後56日のうち、会社を休んで給料が出なかった日
- **対象:**勤務先の健康保険に入っている本人(会社員本人がもらうもので、扶養に入っている専業主婦は対象外)
計算式は傷病手当金とそっくりで、標準報酬月額の平均が30万円の人なら、1日あたり約6,667円。産休はおよそ98日分(産前42日+産後56日)あるので、合計でおよそ65万円前後が目安になります。
なお、出産手当金は非課税で、産休中は社会保険料も免除されます。額面は3分の2でも、手取り感はもう少し良くなります。
③ 育児休業給付金——育休中の収入を補う
産休が終わり、育休に入ると、今度は雇用保険から育児休業給付金が支給されます。
- 金額:休業開始から180日目までは賃金の67%、181日目以降は50%
- **対象:**雇用保険に入っていて、一定の加入期間がある人(男女問わず取得できる)
- ポイント:こちらも非課税で、育休中は社会保険料が免除される
「67%だと手取りはどれくらい減るの?」とよく聞かれますが、給付が非課税なうえ社会保険料も免除されるため、手取りベースでは休業前のおよそ8割が残るイメージです。思っているより目減りは小さい、というのが実感に近いはずです。
④ 出生後休業支援給付金——2025年新設・手取り実質10割
ここが今いちばん知っておきたいポイントです。2025年4月から「出生後休業支援給付金」が新しく始まりました。
これは、育児休業給付金(67%)にさらに13%を上乗せする給付です。合計すると賃金の80%。給付は非課税で社会保険料も免除されるため、**手取りで見ると休業前のほぼ10割(実質100%)**になります。
- 上乗せ額:休業開始時賃金の13%(育休給付67%+13%=80%)
- **対象期間:**子の出生後一定期間内に取得した、**最大28日間(4週間)**の育休
- 主な条件:原則として夫婦ともにそれぞれ14日以上の育児休業を取得すること(ひとり親など、配偶者が取れない事情がある場合は本人だけでも対象)
つまり「夫婦そろって育休を取れば、その最初の28日間は手取りがほぼ減らない」という制度です。これまで「収入が減るからパパは育休を取りにくい」という声が多かったのを後押しする狙いがあります。パパも産後すぐに休みやすくなった、と覚えておいてください。
もらえるお金を時系列で整理する
「結局いつ何がもらえるの?」が混乱しやすいので、出産前後の流れに沿って並べてみます。
| タイミング | もらえるお金 | ざっくりの金額 |
|---|---|---|
| 出産(産前42日〜) | 出産手当金 | 給料の約2/3 ×(産休日数) |
| 出産時 | 出産育児一時金 | 50万円(1児) |
| 育休(出生後28日間) | 育休給付+出生後休業支援給付 | 賃金の80%(手取り実質10割) |
| 育休(〜180日目) | 育児休業給付金 | 賃金の67% |
| 育休(181日目以降) | 育児休業給付金 | 賃金の50% |
こうして見ると、産休・育休中は「収入ゼロ」ではなく、いくつもの給付で生活が支えられているのがわかります。
申請の流れ
申請先が制度ごとに違うので、ここを押さえておくと迷いません。
- 出産育児一時金・出産手当金 → 勤務先の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)へ
- 育児休業給付金・出生後休業支援給付金 → 雇用保険(手続きは通常、会社経由でハローワークへ)
いずれも多くは会社が窓口になって手続きしてくれます。妊娠がわかったら、まずは会社の総務・人事に「産休・育休を取りたい」と早めに伝えるのが第一歩。必要書類や社内の段取りを案内してもらえます。
出産育児一時金の直接支払制度は、出産する病院で同意書にサインする形が一般的です。出産予定の医療機関で「直接支払制度は使えますか」と確認しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 専業主婦(夫の扶養)でももらえる?
A. もらえるものと、もらえないものがあります。出産育児一時金は対象になります(夫の健康保険の被扶養者として支給)。一方、出産手当金・育児休業給付金は本人が働いて保険に入っていることが前提なので、扶養に入っている専業主婦は対象外です。
Q. パパ(夫)ももらえるお金はある?
A. あります。育児休業給付金は男性も取得でき、2025年新設の出生後休業支援給付金は、むしろ「夫婦そろって育休を取ること」が条件になっています。パパが産後すぐに育休を取ると、その期間の手取りがほぼ減らない設計です。「男性育休」は、いまや収入面でも取りやすくなっています。
Q. 育休給付の67%・50%って、手取りだとどのくらい減る?
A. 給付金は非課税で、育休中は社会保険料も免除されます。そのため、67%の期間は手取りベースで休業前の約8割が残るイメージです。さらに出生後休業支援給付の28日間は手取り実質10割。額面の数字だけ見て「半分になる」と早合点しなくて大丈夫です。
Q. もらえるお金に税金はかかる?
A. ここで紹介した出産育児一時金・出産手当金・育児休業給付金・出生後休業支援給付金は、いずれも非課税です。所得税・住民税はかからず、確定申告で収入に含める必要もありません。
Q. 出産費用が50万円を超えたら?
A. 超えた分は自己負担になります。ただし、出産にかかった費用(妊婦健診・通院の交通費なども含む)は医療費控除の対象になることがあります。1年間の医療費が一定額を超えたら、確定申告で税金が戻る可能性があるので、領収書はとっておきましょう。
Q. ここで紹介した以外に、自治体からもらえるお金はある?
A. あります。多くの自治体では、国の制度として出産・子育て応援の給付(妊娠の届出時と出産後に、合わせて10万円相当を支給する仕組み)が実施されています。さらに自治体独自の出産祝い金や、子ども医療費の助成を上乗せしているところも少なくありません。中身は住んでいる市区町村によって差が大きいので、母子手帳を受け取るタイミングで「うちの自治体ではどんな支援がありますか」と窓口で確認しておくのがおすすめです。
まとめ
出産・育児でもらえるお金を整理します。
- 出産育児一時金:出産費用に原則50万円(1児あたり)
- 出産手当金:産休中、給料の約3分の2(会社員本人)
- 育児休業給付金:育休中、賃金の67%(181日目以降50%)
- 出生後休業支援給付金:2025年新設。育休給付に13%上乗せで手取り実質10割(夫婦で育休が条件)
- いずれも非課税、産休・育休中は社会保険料も免除
会社員は、妊娠・出産・育児のそれぞれの場面で、これだけの支えが用意されています。大事なのは「知っていて、ちゃんと申請すること」。まずは妊娠がわかった段階で、勤め先の総務・人事に相談するところから始めてみてください。
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本記事は、NISA・家計改善を実践する会社員が、自身の経験と公的機関の情報をもとに執筆しています。
本記事は2026年時点の制度に基づいています。出産・育児関連の給付の金額・条件は改正される場合があり、個人の状況によって異なります。最新かつ正確な情報は、ご加入の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)、お住まいの自治体、ハローワーク、厚生労働省の公式情報をご確認ください。