病気やケガで長く会社を休むことになったとき、「給料が止まったら、生活どうなるんやろ」と不安になりますよね。
実はそんなときのために、健康保険には「傷病手当金」という制度があります。会社員なら使える可能性が高いのに、意外と知られていない。知らずに「無給で耐える」のはもったいないです。
この記事では、傷病手当金について「いくらもらえるか・条件・期間・申請方法」を、会社員向けにわかりやすくまとめます(2026年時点の制度)。
傷病手当金とは
傷病手当金は、会社員(健康保険の被保険者)が、病気やケガで働けず、給料がもらえないときに、健康保険から支給されるお金です。
会社の健康保険(協会けんぽや健康保険組合)に入っていれば対象になり得ます。ケガや病気で長期間休んだときの「生活の支え」になる、とても大事な制度です。
※自営業の人などが入る国民健康保険には、原則として傷病手当金はありません。ここは会社員の強みのひとつです。
もらえる4つの条件
傷病手当金を受け取るには、次の4つをすべて満たす必要があります。
- 業務外の病気・ケガであること(仕事中・通勤中のケガは労災の対象になるため別制度)
- その病気・ケガで仕事に就けないこと
- 連続する3日間を含み、4日以上仕事を休んでいること
- 休んでいる間、給料の支払いがないこと(給料が出ていてもその額が傷病手当金より少なければ差額が支給される)
ポイントは3番。最初の連続3日間は「待期」として支給されず、4日目から支給対象になります。
いくらもらえる?金額の計算方法
金額の計算式はこうです(2026年時点)。
1日あたりの支給額
= 支給開始日以前12ヶ月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 3分の2
「標準報酬月額」は、ざっくり言うと毎月の給料(額面)をもとに決まる区分のこと。つまり、おおよそ給料の3分の2(約67%)が、1日単位で支給されるイメージです。
具体例で見てみます。
標準報酬月額の平均が30万円の人の場合:
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 1日あたりの支給額 | 30万円 ÷ 30 × 2/3 | 約6,667円 |
| 1ヶ月(30日)あたり | 6,667円 × 30日 | 約200,000円 |
給料の満額ではないものの、月給の約3分の2が支給されるので、療養中の生活を支える助けになります。
いつまでもらえる?(支給期間)
傷病手当金がもらえる期間は、支給を開始した日から通算して1年6ヶ月です。
ここで大事なのが「通算」という点。以前は「支給開始から1年6ヶ月の間」という数え方でしたが、現在は、途中で復職して給料が出た期間などは差し引いて、実際に支給された日数を通算して1年6ヶ月まで受け取れる仕組みになっています。
つまり「いったん復帰したけど、また同じ病気で休むことになった」という場合でも、残りの期間があれば再び受給できます。
申請の流れ
申請は、勤め先の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)に対して行います。流れはこうです。
- 傷病手当金支給申請書を入手(協会けんぽや健保組合のサイトでダウンロードできる)
- 医師(療養担当者)に、働けない状態であることを証明してもらう(申請書の所定欄に記入してもらう)
- 会社に、給料の支払い状況などを記入してもらう
- 健康保険に提出(多くは会社経由でまとめて申請)
- 指定口座へ振り込み
申請は1ヶ月ごとなど、区切って行うのが一般的です。医師と会社それぞれの記入が必要なので、早めに準備しておくとスムーズです。
退職後ももらえる?
「傷病手当金をもらっている途中で退職したら、打ち切られるの?」——これ、気になりますよね。
実は、一定の条件を満たせば、退職後も継続して受け取れます。条件はこちらです。
- 退職日までに、健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること
- 退職日の時点で、傷病手当金を受けているか、受けられる状態であること(退職日に出勤してしまうと継続受給できなくなる場合があるので注意)
この条件を満たせば、退職後も残りの期間について傷病手当金を受け取れます。療養が必要な状態で退職する場合は、退職日の扱いに注意してください。
失業保険とは同時にもらえない
ここはよく誤解されるところです。
傷病手当金は「働けない状態」の人がもらうもの。一方、失業保険(基本手当)は「働く意思と能力があって求職活動をしている」人がもらうものです。
つまり、この2つは前提が真逆なので、同時には受け取れません。
療養中で働けない間は傷病手当金を受け取り、回復して働ける状態になってから失業保険に切り替える、という順番になります。なお、働けない状態が続く場合は、失業保険の受給期間を延長する手続きもあります。
よくある質問(FAQ)
Q. メンタル不調(うつ病など)でも対象になる?
A. 対象になります。業務外の病気である点は同じで、医師が「働けない状態」と判断すれば、心の病気でも傷病手当金を受け取れます。
Q. 有給休暇を使った日も対象になる?
A. 有給休暇は給料が出るため、その日は傷病手当金の対象外です。ただし、待期の3日間は有給でもカウントされます。有給を使い切ってから傷病手当金、という流れになることが多いです。
Q. パートでももらえる?
A. 勤務先の健康保険の被保険者であれば対象です。週の労働時間などの加入条件を満たして健康保険に入っているかが分かれ目になります。
Q. 傷病手当金に税金はかかる?
A. 傷病手当金は非課税です。所得税・住民税はかからず、確定申告で収入に含める必要もありません。給料の約3分の2とはいえ、税金が引かれない分、実際の手取り感は思ったより悪くないことが多いです。
Q. 申請してからどれくらいで振り込まれる?
A. 申請書が健康保険に届いてから、おおむね2週間〜1ヶ月程度が目安です(健保によって異なります)。初回は医師や会社の記入待ち・書類不備で時間がかかることもあるので、早めに準備して提出するのがコツです。
Q. 自営業・フリーランス(国民健康保険)でももらえる?
A. 原則として、もらえません。傷病手当金は会社員などが入る健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)の制度で、自営業やフリーランスが入る国民健康保険には、基本的に傷病手当金の仕組みがないためです。
ここは会社員と自営業で大きく差が出るところ。自営業の人は、病気やケガで働けなくなったときの収入の備えを、自分で用意しておく必要があります。具体的には、就業不能保険や所得補償保険に入る、生活防衛資金を厚めに確保しておく、といった対策です。「会社員のうちは傷病手当金がある」と知っておくと、独立を考えるときの判断材料にもなります。
Q. 療養が長引きそう。家計はどう守ればいい?
A. まずやるべきは「毎月いくら出ていくか」を正確に把握することです。傷病手当金は給料の約3分の2なので、収入が3割ほど減る前提で家計を組み直す必要があります。
おすすめは次の3ステップ。
- 固定費を洗い出す(家賃・通信費・保険・サブスクなど、休んでいても出ていくお金)
- 傷病手当金で何ヶ月もつかを計算する(手取り見込み額 ÷ 毎月の支出)
- 削れる固定費から見直す(使っていないサブスク・割高なスマホ代など)
療養中はただでさえ気力が落ちるので、家計を「自動で見える化」しておくと負担が軽くなります。銀行口座やクレジットカードを連携できる家計簿アプリを使えば、毎月の支出と残高が自動で集計され、「あと何ヶ月もつか」がひと目でわかります。
あわせて知っておきたい「高額療養費制度」
傷病手当金が「収入の支え」だとすれば、長期の療養でもうひとつ効いてくるのが「医療費の支え」です。
それが高額療養費制度。1ヶ月(同じ月)の医療費の自己負担が一定の上限を超えた場合、超えた分があとから払い戻される仕組みです。上限額は年齢や所得によって決まります。
さらに、事前に「限度額適用認定証」を健康保険に申請して病院の窓口に提示しておけば、そもそもの窓口での支払い自体を上限額までに抑えることができます。入院や手術で医療費が高額になりそうなときは、先にこの認定証をもらっておくと、立て替えの負担がぐっと軽くなります。
「傷病手当金(収入)+高額療養費(医療費)」の両輪で、療養中の家計を守る——この2つはセットで覚えておきたい制度です。
長引きそうなときは「障害年金」も視野に
傷病手当金がもらえる期間は、通算で最長1年6ヶ月。それでも働けない状態が続く場合は、障害年金の対象になることがあります。
障害年金は、病気やケガで一定以上の障害が残り、生活や仕事に支障がある場合に支給される年金です。傷病手当金とは別の制度で、要件を満たせば長期的な支えになります。
ポイントは、傷病手当金が終わる前に、障害年金の要件にあてはまりそうか確認しておくこと。間が空くと収入が途切れてしまうので、長引きそうな場合は早めに年金事務所などに相談しておくと安心です。
まとめ
傷病手当金のポイントを整理します。
- 会社員(健康保険の被保険者)が、業務外の病気・ケガで働けず給料が出ないときに支給される
- 金額は「標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3」。おおよそ給料の3分の2
- 連続3日の待期の後、4日目から。支給は通算で最長1年6ヶ月
- 条件を満たせば退職後も継続受給できる
- 失業保険とは同時にもらえない
会社員にとって、長期で働けなくなったときの大きな支えになる制度です。「いざというときに、こういう制度がある」と知っておくだけで、不安はかなり減ります。もし今まさに長く休むか迷っている人がいたら、まずは勤め先の健康保険の窓口に相談してみてください。
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本記事は、NISA・家計改善を実践する会社員が、自身の経験と公的機関の情報をもとに執筆しています。
本記事は2026年時点の制度に基づいています。傷病手当金の条件・金額・期間は改正される場合があり、個人の状況によって異なります。最新かつ正確な情報は、ご加入の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)および全国健康保険協会の公式情報をご確認ください。