会社を辞めるとき、いちばん気になるお金のひとつが「失業保険って、結局いくらもらえるん?」やと思います。
私のまわりでも、「もらえると思ってたら条件を満たしてなかった」「手続きが分からず受給が遅れた」という人が意外といました。知らずに損するのはもったいない。
この記事では、失業保険(正式には雇用保険の「基本手当」)について、いくらもらえるか・もらえる条件・手続きの流れを、会社員向けにできるだけわかりやすくまとめます(2026年時点の制度)。
そもそも失業保険(基本手当)とは
「失業保険」と呼ばれているものの正式名称は、雇用保険の「基本手当」です。
会社員として働いている間、給料から「雇用保険料」が天引きされています。その保険から、退職して次の仕事を探している間の生活を支えるためのお金が支給される——これが基本手当です。
ポイントは「働く意思と能力があって、求職活動をしている人」が対象だということ。専業主婦(夫)になる、すぐ働く予定がない、という場合は対象外になります。
もらえる条件
基本手当を受け取るには、主に次の条件を満たす必要があります(2026年時点)。
①雇用保険の加入期間
- 自己都合退職:離職前の2年間に、被保険者期間が通算12ヶ月以上
- 会社都合・特定理由離職など:離職前の1年間に、被保険者期間が通算6ヶ月以上
②働く意思と能力があり、求職活動をしている
ハローワークで求職の申し込みをして、積極的に就職活動をしていることが前提です。
逆に言うと、「病気ですぐ働けない」「妊娠・出産・育児で当面働けない」という場合は、そのままでは対象になりません(受給期間の延長手続きをすれば、働ける状態になってから受給できる場合があります)。
いくらもらえる?金額の計算方法
ここが一番知りたいところですよね。基本手当の金額は、次の2ステップで決まります。
ステップ1:賃金日額を出す
賃金日額 = 退職前6ヶ月の賃金合計 ÷ 180
ここでの「賃金」は、基本給+残業代+各種手当などの額面の給料です。ボーナス(賞与)と退職金は含みません。
ステップ2:基本手当日額を出す
基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(約50〜80%)
給付率は年齢や賃金によって変わり、賃金が低い人ほど率が高くなる(生活への影響が大きいため手厚くなる)仕組みです。また、上限額・下限額も定められています。
具体例で見てみます。
退職前6ヶ月の給料が毎月30万円(合計180万円)だった場合:
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 賃金日額 | 180万円 ÷ 180 | 10,000円 |
| 基本手当日額(給付率約60%と仮定) | 10,000円 × 約60% | 約6,000円 |
| 1ヶ月あたり(28日分) | 6,000円 × 28日 | 約168,000円 |
あくまで概算ですが、「月給30万円くらいの人で、ひと月あたり16〜18万円前後」がイメージです。手取りの満額がもらえるわけではない点は知っておきましょう。
何日分もらえる?(給付日数)
もらえる日数は、退職理由・年齢・加入期間で変わります。ざっくりの目安はこちらです。
自己都合で辞めた場合
| 被保険者期間 | 給付日数 |
|---|---|
| 10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
会社都合(倒産・解雇など)で辞めた場合
会社都合のほうが手厚く、年齢と加入期間に応じて90日〜330日と幅があります。同じ勤続年数でも、会社都合のほうが給付日数は長くなります。
目安をいくつか挙げると、こんなイメージです。
| ケース | 給付日数の目安 |
|---|---|
| 自己都合・勤続5年 | 90日 |
| 会社都合・35歳・勤続5年 | 約150日 |
| 会社都合・45歳・勤続10年 | 約240日 |
同じ勤続年数でも、自己都合か会社都合かで給付日数が倍近く変わることがあります。それだけ「離職理由がどちらになるか」は重要です。
「すぐもらえる」わけではない——待期と給付制限
ここ、誤解が多いところです。退職してすぐ振り込まれるわけではありません。
①待期期間(7日間)
求職の申し込みをしてから、まず7日間は誰でも支給されません。
②給付制限(自己都合の場合)
自己都合で退職した場合は、待期の後にさらに給付制限期間があります。この期間は2025年4月の改正で見直され、2026年時点では原則1ヶ月に短縮されています(以前は2ヶ月でした)。
一方、会社都合や特定理由離職の場合は、給付制限がありません。待期の7日間が終われば支給対象になります。この差は大きいので、自分の離職区分がどちらになるかは要チェックです。
※給付制限の取り扱いは改正が続いている分野です。最新の日数は、必ずハローワークで確認してください。
手続きの流れ
実際の受給は、ハローワークでの手続きを通じて進みます。大まかな流れはこうです。
- 離職票を受け取る(退職後、会社から郵送される。届かない場合は会社に催促を)
- ハローワークで求職の申し込み+受給資格の決定(離職票・本人確認書類・マイナンバー・写真・通帳などを持参)
- 雇用保険の説明会に参加
- 失業認定(原則4週間に1回、求職活動の実績を申告)
- 指定口座へ振り込み
この「4週間ごとの失業認定」で求職活動の実績が必要になるので、応募・面接・セミナー参加などの記録は残しておきましょう。
受給中の注意点
アルバイトをしたら必ず申告する
受給期間中に短期のアルバイトなどをした場合は、失業認定のときに必ず申告が必要です。申告した収入や日数に応じて、支給が減額・先送りになることがあります。
申告せずに働くと「不正受給」になる
申告せずに働いて受給を受けると、不正受給とみなされ、受け取った額の返還に加えてペナルティ(最大で受給額の3倍の納付)が科されることがあります。ここは絶対にごまかさないこと。
早く再就職すると「再就職手当」がもらえることも
給付日数を多く残して早めに再就職した場合、「再就職手当」として残りの一部がまとめて支給される制度があります。「全部もらいきってから働こう」より、早く決まったほうが得になるケースもあります。
よくある質問(FAQ)
Q. パートやアルバイトでも失業保険はもらえる?
A. 雇用保険に加入していれば対象になり得ます。週の労働時間などの加入条件を満たしていたかが分かれ目です。給与明細や離職票で雇用保険に加入していたか確認しましょう。
Q. 退職金をもらっても失業保険はもらえる?
A. もらえます。退職金は基本手当の計算(賃金日額)には含まれず、受給の可否にも影響しません。
Q. 失業保険をもらうと扶養から外れる?
A. 基本手当の日額によっては、健康保険の被扶養者の収入基準を超え、扶養から外れる場合があります。配偶者の扶養に入る予定がある人は、事前に金額を確認しておくと安心です。
Q. 失業保険をもらっている間、国民年金は払わないといけない?
A. 原則として支払い義務はありますが、退職(失業)を理由にした保険料の免除・納付猶予の制度があります。収入が下がっているこの時期は、未納のまま放置せず免除申請をしておくのが得策です。
失業中の社会保険・年金はどうなる?
会社を辞めると、これまで給料天引きだった社会保険を自分で手続きする必要があります。失業保険とあわせて押さえておきたいポイントです。
健康保険は、主に次の3つから選びます。
- 国民健康保険に加入する(お住まいの市区町村で手続き)
- 前の会社の健康保険を任意継続する(原則2年間・保険料は会社負担分も含め全額自己負担)
- 家族の扶養に入る(収入の条件を満たす場合)
どれが一番安いかは、前年の所得や家族構成で変わります。国民健康保険の保険料を役所で試算してもらい、任意継続の保険料と比べて決めるのがおすすめです。
年金は、会社を辞めると国民年金(第1号被保険者)に切り替わります。保険料の支払いが厳しい場合は、「保険料免除・納付猶予」を申請できます。失業を理由にした特例もあるので、収入が途絶える間は申請を検討しましょう。未納のまま放置すると将来の年金額が減ってしまうので、「払えないなら、放置せず免除申請」が鉄則です。
これらの切り替えは退職後すぐに期限が来るものが多いので、失業保険の手続きと並行して、早めに役所で確認しておくと安心です。
まとめ
失業保険(基本手当)のポイントを整理します。
- 正式名称は雇用保険の「基本手当」。働く意思があり求職活動をする人が対象
- 金額は「退職前6ヶ月の給料 ÷ 180 × 給付率(約50〜80%)」。手取り満額ではない
- 給付日数は自己都合で90〜150日、会社都合は90〜330日
- すぐはもらえない。待期7日+自己都合は給付制限(2026年時点で原則1ヶ月)
- 手続きはハローワークで。離職票が届いたら早めに動く
退職を考えているなら、まず自分が「自己都合」か「会社都合」のどちらになるかを意識してみてください。ここで給付制限の有無や給付日数が変わり、受け取れる総額に差が出ます。制度を知っているだけで、退職後の不安はだいぶ軽くなります。
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本記事は、NISA・家計改善を実践する会社員が、自身の経験と公的機関の情報をもとに執筆しています。
本記事は2026年時点の制度に基づいています。失業給付の条件・給付制限期間・給付日数は改正される場合があり、個人の状況によって異なります。最新かつ正確な情報は、ハローワークおよび厚生労働省の公式情報をご確認ください。