28歳のとき、職場の先輩が腰椎椎間板ヘルニアで3ヶ月間休職した。「腰痛くらいで」と思っていたが、その先輩は手術が必要になり、復帰後も仕事の制限が続いた。傷病手当金は出ていたが、それでも月収の3分の1が消え、貯金を崩し続けていると聞いて他人事に思えなくなった。大きな病気じゃなくても、働けなくなることはある——これが私の意識を変えたきっかけだ。
「働けなくなるリスク」は死亡リスクより圧倒的に高い
多くの人は生命保険(死亡リスク)には敏感だが、「働けなくなるリスク」には無防備だ。しかし統計を見ると、その優先順位は逆になる。
- 20〜40代が60歳までに3ヶ月以上働けなくなる確率:約3人に1人
- 同じ年代が60歳までに死亡する確率:約20〜30人に1人
死亡リスクより、働けなくなる可能性の方が10倍以上高い。
1年間働けなくなった場合の影響は深刻だ。月収30万円の場合、傷病手当金(最長1年6ヶ月、給与の約67%)で補填されるのは約242万円。失う給与360万円のうち、約118万円が補填されないまま残る。しかも休んでいる間も生活費・医療費・住宅ローンは止まらない。
就業不能保険とは何か——医療保険との違い
医療保険は「治療にかかった費用(入院・手術など)」を補う。就業不能保険は「働けない期間の生活費」を毎月補填する。機能がまったく異なる。
| 比較項目 | 医療保険 | 就業不能保険 |
|---|---|---|
| 給付のタイミング | 入院・手術時 | 働けない状態が続く間 |
| 給付の内容 | 日額○円・手術○万円 | 毎月○万円 |
| カバーするもの | 治療費の一部 | 生活費・ローン返済など |
くも膜下出血で入院→退院後も療養が必要な期間は、医療保険の給付が止まる。しかし就業不能保険なら、医学的に働けない状態が続く間は毎月の給付が続く。
「でも傷病手当金があれば大丈夫では」という反論への答え
「会社員には傷病手当金があるから就業不能保険は不要では」という声はよく聞く。
傷病手当金は月収の約67%、最長1年6ヶ月出る。ただし、残りの33%は自腹だ。月収30万円なら月約10万円の不足が1年半続く。さらに1年6ヶ月を超えたら給付がゼロになる。長期の療養が必要な場合、それ以降は完全に無収入になる。就業不能保険はこの「傷病手当金の穴」を埋めるための保険だ。
自分に必要な保障額の決め方——3ステップ
ステップ1:月の生活費を正確に把握する 家賃・食費・光熱費・ローン・保険料など、最低限必要な月額を計算する。節約を考慮した「最低限の生活費」が基準だ。
ステップ2:傷病手当金でカバーされる部分を引く 月収30万円の場合:傷病手当金約20万円。不足分は約10万円/月。これが就業不能保険でカバーしたい額の目安だ。
ステップ3:「支給開始日」で保険料を調整する 就業不能保険は待機期間(60日・90日・180日など)を選べる。生活防衛資金が3〜6ヶ月分ある人は、待機期間を長くすることで月々の保険料を抑えられる。
今週できる最小アクション
「月の生活費」を今日計算する。家賃・食費・光熱費・通信費・ローンを合計するだけでいい。その金額が、就業不能保険で守るべき「最低ライン」になる。
これは「会社員・フリーランス問わず、3ヶ月以上仕事を休んだら家計が成立しなくなる人」に向けた内容だ。貯金が生活費の12ヶ月分以上ある人は、就業不能保険の優先度は下がる。
次回は「保険料を半額にする見直し手順ステップガイド」。今入っている保険を整理するだけで、年間数万円の固定費削減につながるケースが多い。