「がんになったら数百万かかるらしいよ」という友人の言葉がずっと頭に残って、30歳のとき月4,000円のがん保険に加入した。加入から1年後、高額療養費制度を調べてみて愕然とした。「がんになっても月の自己負担は数万円で済む」という事実を、まったく知らなかった。年4万8,000円を「なんとなく不安」という感情だけで払い続けていたのだ。
「2人に1人ががんになる」の正しい読み方
「日本人の2人に1人ががんになる」は、生涯を通じた累積リスクだ。30代の罹患率は非常に低く、リスクが高まるのは50代以降になる。
さらに重要なのは、がんになっても医療費の多くは公的保険でカバーされるという事実だ。
- がん治療の約60%は手術が中心で、その多くは健康保険の対象
- 高額療養費制度により月の自己負担は最大でも約8〜9万円程度
- 月医療費が50万円でも、自己負担は約9万円(年収400万円台の場合)
「がんになったら数百万かかる」という話は正確ではない。公的保険でカバーされないのは主に「先進医療の費用」「差額ベッド代」「通院中の交通費・食費」「治療中の収入減」だ。これらが、がん保険で本当に備えるべき部分になる。
あなたにがん保険は必要か——チェックリスト
感情ではなく、条件で判断しよう。
がん保険を検討した方がいい人:
- 貯金が50万円以下(急な出費に対応できない)
- 自営業・フリーランスで傷病手当金がない
- 成果給で、休んだ分だけ収入が減る仕事
- 家族を養っており、仕事を休むと家計が成立しない
がん保険の優先度が低い人:
- 貯金が300万円以上ある
- 大企業・公務員で傷病休暇が手厚い
- 独身で扶養家族がいない
- 企業の団体保険で十分な休業補償がある
「でも先進医療は公的保険対象外で何百万もかかると聞いた」という反論への答え
「先進医療は全額自己負担で、がん保険がないと払えない」という声はよく聞く。
確かに先進医療の中には高額なものもある。ただ、実際に先進医療を使う頻度は全がん患者の数%程度にとどまる。がん保険の「先進医療特約」は月200〜300円で付けられる。先進医療リスクだけに備えるなら、保険全体に月4,000円払う必要はなく、先進医療特約のみを追加するほうが合理的だ。
もし入るなら——失敗しない選び方の3つのポイント
① 診断一時金型を選ぶ:入院日数に応じた「日額型」より、診断確定時にまとまった金額が出る「一時金型(例:100万円)」の方が実用的だ。がんと診断されたタイミングが最もお金が必要な時期だからだ。
② 払込期間は「有期払い」にする:65歳・70歳までで払い終わる有期払いの方が、終身払いより老後の固定費を増やさない。
③ 「先進医療特約」は付けても月200〜300円:先進医療の使用頻度は低いが、特約保険料が安いので付けておくこと自体は悪くない。
今週できる最小アクション
現在のがん保険に加入しているなら、保険証券を出して「月額保険料」「どんなときにいくら出るか」の2点を確認する。特に日額型に入っている場合、一時金型への切り替えを比較検討してみる。
これは「現在がん保険に加入している、または加入を検討している20〜40代」に向けた内容だ。自営業者やフリーランスは傷病手当金がない分だけリスクが大きく、状況が変わるので別途考慮が必要になる。
次回は「就業不能保険が必要な理由と選び方」。死ぬリスクより働けなくなるリスクの方が何倍も高いというデータがある。