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医療の進化で保険の考え方が変わってきた理由

「お父さんが入ってたのと同じ保険に入っておけば間違いない」——母にそう勧められて、何も確認せずに加入した。気づいたのは3年後、保険の勉強を始めてからだ。親の時代と今では、平均入院日数も医療費の自己負担上限も別次元に変わっていた。親と同じ保険に何も考えず3年間払い続けた保険料は約25万円。時代に合わない保険にお金を払い続けることは、じわじわと資産を削る行為だ。


1. 医療技術の進化が保険の役割を変えた

20年前と今では、医療現場は劇的に変わった。最大の変化は「入院期間の短縮化」だ。

がんの手術を例に挙げると、かつては開腹手術が主流で入院期間は2〜3週間が一般的だった。今は腹腔鏡手術が広がり、入院期間は4〜5日に短縮されている。外来で受けられる治療も増えた。

2000年時点で日本人の平均入院期間は37日だったが、2022年には26日まで減少している。かつての保険設計は「長期入院に備える」という前提で作られていたのに対し、実際には短期入院で済むケースが大多数になった。

さらに、医療費の自己負担額も「高額療養費制度」で守られている。月収30万円の会社員なら、月の医療費自己負担の上限は約9万円だ。いくら大病をしても、家計全体の負担は制度的に限定されている。この変化を無視して昔と同じ保険に加入していれば、当然「払いすぎ」になる。

「でも医療の進化で新しい病気や治療も増えているのでは…」——確かに先進医療は増えている。ただし、先進医療の自己負担額が高額になるケースは全体の1%未満だ。「万が一」に備えて毎月数千円を20年間払い続けるより、その分を貯蓄に回して実費対応する方が合理的なケースが多い。

2. あなたが本当に必要な保障は意外と少ない

保険を選ぶときに大切なのは「何に備えるべきか」を正しく理解することだ。20〜40代の社会人にとって、本当に怖い出来事を統計で見ると、死因トップ3は「がん」「心疾患」「脳卒中」で全死因の約40%を占める。年代や性別によって必要な保障は異なるのに、営業員から勧められるままに「医療保険」「がん保険」「女性疾病特約」など、すべてに加入している人が多い。

保障の優先順位は以下の通りだ。

必須:死亡保障(定期保険) 家族がいる人は、死亡したときに生活費が足りなくなるリスクがある。必要額は「生活費×働ける年数−貯蓄」。月30万円の生活費で30年働くなら1,080万円が目安だ。掛け捨ての定期保険は保険料が安い。

次点:収入保障 死亡よりも怖いのが「働けなくなる」ことだ。病気やケガで仕事ができなくなると月の生活費が賄えない。3年以上給付される長期保険を持つことが重要だ。

後回しにしてもいい:医療保険 短期の入院は貯蓄で対応できる。医療保険が本当に活躍するのは「長期の自費治療(先進医療など)」に限られることが多い。

「でも医療保険に入っていないと心配で眠れない…」——その不安はわかる。ただ、50万円の生活防衛資金があれば、短期入院は貯蓄で乗り越えられる。まず高額療養費制度の自己負担上限を確認してから、医療保険の必要額を計算する順番で動く。感情ではなく数字で判断する。

3. 実際に保険を見直すための3ステップ

ステップ1:現在の保険内容を整理する 加入している保険の保険証書を引っ張り出す。チェックすべきは「保険の種類」「毎月の保険料」「給付内容(入院1日いくら?)」「加入年数(古いほど見直し対象)」の4点だ。5年前に加入した保険は、今の医療現場にズレている可能性が高い。

ステップ2:本当に必要な額を計算する 死亡保障は「遺族に必要な生活費−公的年金(遺族年金)−貯蓄」で計算する。収入保障は「月の固定費×働けない期間の見込み月数」で算出する。この数字より大きな保障は削れる。

ステップ3:不要な保険・特約を1つ解約する 計算結果と現在の契約を照らし合わせ、明らかに不要なものを1つ解約する。1件でも解約できれば、その浮いた保険料を投資や貯蓄に回せる。


今日できる最小アクション

自分の「高額療養費制度の自己負担上限額」を調べる。 「高額療養費制度 計算」で検索し、自分の月収を入力するだけで上限額がわかる。この金額がわかると、「本当に医療保険がいくら必要か」が具体的に見えてくる。



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