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夫婦でNISAをやるなら知っておきたい——世帯3,600万円の非課税枠と「贈与税の落とし穴」

「NISAって、1人で黙々とやるもんやろ」——正直、最初はそう思ってました。

我が家は共働きで、私も妻もそれぞれNISA口座を持っています。でも長いこと、お互いに「自分の口座」を別々に眺めているだけで、世帯として一緒に考えたことはなかったんよね。

それがあるとき、ふと「2人分の枠って、合計したらいくらになるんやろ」と計算してみた。そこで初めて、夫婦でやると景色が全然ちがうことに気づきました。

ただ同時に、調べていくうちに「これ知らんかったら危なかったな」という落とし穴も見つかった。配偶者の口座にお金を入れると、贈与税がかかることがあるという話です。

今日は、夫婦でNISAを考えるときの枠の話・名義の分け方・そして贈与税の注意点まで、我が家の実例を交えて正直に書きます。


夫婦なら非課税枠は「世帯で3,600万円」

まず大前提から。新NISA(2024年スタート、2026年現在も同じ制度)の生涯非課税限度額は、1人あたり1,800万円です。

項目1人あたり夫婦2人
生涯非課税限度額1,800万円3,600万円
年間投資枠(つみたて+成長)360万円720万円
非課税期間無期限無期限

NISAは「1人1口座」が原則で、夫婦の枠を1つにまとめることはできません。でも逆に言えば、夫婦それぞれが口座を持てば、世帯としては倍の枠が使えるということ。

3,600万円が非課税で運用できる、というのは結構な金額です。仮にこの枠を全部埋めて、年4%で20年運用できたとしたら、運用益だけで2,000万円を超える計算になる。その利益にかかるはずだった約20%の税金(400万円以上)が、まるごと非課税になるわけです。

「自分1人の1,800万円」で考えるのと「世帯で3,600万円」で考えるのとでは、戦略の立て方がまるで変わってくる。これが、夫婦で考える一番のメリットでした。


我が家が迷った「どっちの名義を優先するか」

枠が倍になるのは分かった。じゃあ次に出てくるのが「どちらの口座を優先して埋めるか」という問題です。

我が家もここで結構迷いました。「収入が多い方の口座を優先すべき?」「いや、少ない方?」と、夫婦で意見が分かれた。

調べてみて分かったのは、NISAの運用益は誰の口座でも非課税なので、どちらを優先しても税金面の有利・不利はほぼないということ。iDeCoみたいに「所得が高い人ほど節税額が大きい」という仕組みとは違うんよね。

じゃあ何で決めるか。我が家がたどり着いた基準はこの2つでした。

ひとつは「続けやすさ」。给料の入金口座と紐づけやすい方、アプリをこまめに見るのが苦じゃない方を、メインにする。投資は続けることが一番大事なので、面倒くさがらない方を中心にしました。

もうひとつは「お金の出どころ」。これが次に話す贈与税の話に直結します。実はここが、一番のキモでした。


【ここ大事】配偶者の口座にお金を入れると、贈与税がかかることがある

ここからが、多くの「夫婦でNISA」の記事がサラッと流してしまう、でも一番大事な話です。

たとえば、夫がフルタイムで働いていて、妻が専業主婦(または収入が少ない)の家庭を考えます。「妻の枠ももったいないから埋めよう」と、夫が自分の給料から妻のNISA口座にお金を入れて運用させる——これ、よくやりがちなんですが、注意が必要です。

なぜなら、夫婦であっても、一方のお金を相手に渡して投資させると「贈与」とみなされる場合があるから。

贈与税には「暦年課税」という仕組みがあって、1年間にもらった額が110万円を超えると、超えた分に贈与税がかかります(2026年現在)。逆に言えば、年110万円までなら基礎控除の範囲で非課税です。

ここで誤解しやすいのが「生活費なら大丈夫なんちゃう?」という点。確かに、夫婦間で日常の生活費・教育費をやりくりするお金の移動は贈与になりません。でも、受け取った側がそのお金を「投資」や「貯蓄」に回した場合は、生活費とは見なされず、贈与とみなされる可能性があるんです。NISAでの運用は、まさにこの「投資に回した」に当たります。

つまり、専業主婦(夫)世帯で配偶者の口座をフルに埋めようとして、年110万円を大きく超えるお金を渡すと、贈与税の論点が出てくる。ここを知らずに「枠がもったいないから」と一気に入金してしまうと、あとで困ることになりかねません。

じゃあ、どうすればいいのか

現実的な対策はこの3つです。

①それぞれが「自分の収入」で、自分の口座を埋める。 共働きなら、これが一番シンプルで安全。夫は夫の給料で、妻は妻の給料で。お金の出どころと名義が一致していれば、贈与の問題は起きません。我が家はこれにしました。

②渡すなら年110万円の範囲内にとどめる。 片働き世帯で配偶者の枠も使いたい場合は、贈与にあたるとしても基礎控除の範囲(年110万円以内)に収めれば非課税です。月にならすと約9万円。この範囲なら現実的に対応できます。

③共有財産の考え方は、税務上はそのまま通らないこともある。 「夫婦のお金は2人のもの」という感覚は分かるんですが、税務の世界では名義で判断されることが多い。心配な額になりそうなら、税理士など専門家に一度相談するのが確実です。

正直、私もこの仕組みを知ったときは「えっ、夫婦間でもそうなん?」と驚きました。でも知っておけば、入金の仕方を工夫するだけで避けられる話。知らずにやってしまうのが一番こわいんよね。


共働き世帯の戦略・片働き世帯の戦略

お金の出どころの話を踏まえると、世帯のタイプによって取るべき形が変わってきます。

共働き世帯の場合は、シンプルに「それぞれが自分の収入で、自分の口座を積み立てる」のが基本。これなら贈与の心配もなく、世帯で最大3,600万円の枠をフルに狙えます。金額は2人の家計に無理のない範囲で、たとえば「夫が月5万円、妻が月3万円」のように、それぞれの収入に応じて決めればいい。

片働き世帯の場合は、まず「収入のある側の1,800万円を優先的に埋める」のが現実的です。配偶者の枠は、先ほどの年110万円の範囲を意識しながら、余裕があれば少しずつ使う。無理して両方を一気に埋めようとせず、まず働いている側の枠を着実に育てる方が、贈与の問題も起きずスッキリします。

どちらのタイプでも共通して言えるのは、「枠を全部埋めること」が目的じゃないということ。3,600万円という数字はあくまで上限であって、ノルマじゃない。我が家も、枠を埋めることより「家計が苦しくならない範囲で続けること」を優先しています。


もうひとつ知っておきたい——相続のときNISAはどうなる

夫婦で資産形成をするなら、その先の「相続」も少しだけ頭に入れておくと安心です。ここも見落とされがちなポイント。

配偶者が亡くなった場合、その人のNISA口座で運用していた資産は、相続財産として扱われ、相続税の課税対象になります。NISAの非課税は「運用益が非課税」というだけで、「相続税が非課税」というわけではないんよね。

しかも注意したいのが、相続したNISA資産は、そのまま相続人のNISA口座には引き継げないこと。亡くなった人のNISA口座は閉じられ、資産は相続人の課税口座(特定口座など)に移管されます。そして、その後の値上がり益には通常どおり税金がかかるようになる。「配偶者のNISAをそのまま自分のNISAに移せる」わけではない、という点は覚えておきたいところです。

ただ、過度に心配する必要もありません。配偶者が相続する場合は、相続税に「配偶者の税額軽減」という大きな控除があって、1億6,000万円または法定相続分相当額のどちらか多い方まで、配偶者には相続税がかからない(2026年現在)。一般的な共働き世帯のNISA資産であれば、この控除の範囲に収まることがほとんどです。

つまり「NISAは相続税が非課税」ではないけれど、「配偶者が相続するなら、たいていの場合は大きな負担にはならない」というのが実際のところ。ここを正しく理解しておくと、いざというときに慌てずに済みます。


我が家が実際にやっている設定

最後に、我が家のリアルな運用を書いておきます。共働き世帯の一例として参考にしてください。

私と妻でそれぞれ口座を持って、お互いに「自分の給料から」積み立てています。金額は2人で相談して、家計に無理のない範囲に設定。中身はどちらも全世界株式のインデックスファンド1本で、毎月自動積立にして、基本ほったらかし。

最初に一度だけ、2人で「世帯としていくら積み立てているか」「目標はどのへんか」をざっくり共有しました。これをやっておくと、片方が「もう不安だからやめたい」と言い出したときも、2人で話して決められる。1人で抱え込まないのが、夫婦でやる地味だけど大きなメリットだと感じています。

暴落が来た2024年8月も、2人で「まあ、続けとこか」と確認し合えたから、どちらも売らずに済んだ。これは1人でやっていたら、もっと不安だったと思います。


まとめ——まずは「2人の枠」を一度たし算してみよう

夫婦でNISAを考えるときのポイントを整理します。

難しそうに見えるかもしれませんが、共働き世帯なら「お互い、自分の給料で、自分の口座を積み立てる」——これだけ守れば、贈与税の心配もなく世帯の枠をフルに使えます。

まずやってみてほしいのは、夫婦2人の枠を一度たし算してみること。「世帯で3,600万円も非課税で運用できるんや」と数字で見えた瞬間、たぶん少しワクワクするはず。そこから「じゃあ無理ない範囲でいくら積み立てよか」と2人で話してみてください。

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本記事は、NISA・家計改善を実践する会社員が、自身の経験と公的機関の情報をもとに執筆しています。

本記事は2026年時点の制度・税制に基づいています。贈与税・相続税の取り扱いは個別の状況により異なり、税制は変更される場合があります。具体的な判断の際は、必ず国税庁・金融庁の公式情報を確認し、必要に応じて税理士等の専門家にご相談ください。


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