電気代の明細、細かい内訳まで見たことがあるでしょうか。「基本料金」「電力量料金」の下あたりに、小さく「再エネ発電賦課金」という項目があります。多くの人が素通りしている、この1行。ここが、2026年度に過去最高値を更新しました。
先に数字で言います。
2026年度の再エネ賦課金は、1kWhあたり4.18円。制度が始まって以来、初めて4円を超えました。 しかもこれ、7月から始まる新しい値上げではありません。2026年5月の検針分から、もうすでに適用されています。 気づかないまま、2ヶ月ぶん多く払っている人もいるはずです。
「知らない値上げ」ほど厄介なものはありません。中身を正確に見ていきます。
そもそも「再エネ賦課金」とは何か
再エネ賦課金(正式には再生可能エネルギー発電促進賦課金)は、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの電気を、国が決めた価格で電力会社に買い取らせる制度(FIT制度)のコストを、電気を使う全員で薄く広く負担する仕組みです。
大手電力だけでなく、新電力に乗り換えていても、電気を使う限りこの賦課金からは逃れられません。会社を変えても消えない、数少ない全国共通のコストです。
計算式はシンプルで、
賦課金 = 単価(円/kWh)× 使用電力量(kWh)
2026年度はこの単価が「4.18円」に決まった、というのが今回のニュースです。
いくら増えるのか——標準家庭で試算
経済産業省の発表をもとに計算すると、月260〜300kWh使う標準的な家庭の場合、
- 2025年度:単価3.98円 → 月300kWhなら約1,194円
- 2026年度:単価4.18円 → 月300kWhなら約1,254円
- 差額:月およそ60円、年間およそ720円の増加
「月60円」と聞くと小さく感じるかもしれません。でも、これは単価の値上げぶんだけの話。賦課金自体はすでに月1,000円超を毎月払っている項目で、今回の値上げは、その上にさらに積み上がる形です。しかも制度開始からずっと右肩上がりで、今回で歴代最高値の更新。「小さい値上げが毎年重なっている」という積み重ねの方が、本当は見るべきポイントです。
夏はエアコン稼働で使用量が増える時期。300kWhより多く使う家庭では、値上げの実額もそのぶん大きくなります。
見落とされやすい3つの理由
このニュース、値上げ系の話題の中でもとくに気づかれにくいです。理由は3つあります。
① 発表が3月、適用が5月というタイムラグ 経済産業省が単価を発表するのは例年3月。でも実際に請求書に反映されるのは5月の検針分から。話題になるタイミングと、財布から実際に出ていくタイミングがズレるので、「もう始まっている」という感覚を持ちにくいのです。
② 電力会社を選んでも避けられない 食品の値上げなら「別の店で買う」、通信費なら「格安SIMに変える」と対策できます。でも再エネ賦課金は全国一律・全電力会社共通。電力会社を乗り換えて安くする対策は他の部分(基本料金・従量料金)には効きますが、この賦課金だけは何をしても同じ金額がかかります。
③ 明細の中で埋もれている 基本料金・電力量料金・燃料費調整額……と項目が並ぶ中の1行なので、よほど気にして見ない限り、単価が変わったことに気づきません。
この賦課金、いつまで続くのか
「もう終わってほしい」と思う人も多いはずですが、正直にお伝えすると、すぐには終わりません。
再エネ賦課金は、太陽光などの発電事業者と20年間の買取契約を結ぶ制度が土台になっています。2012年ごろに始まった高額買取の案件は、2032年ごろに順次満了していく見込みで、賦課金が完全になくなるのはそれ以降の話です。
一方で、国は2022年度から新規案件を「FIP制度」という、賦課金への依存が小さい仕組みに切り替えています。つまり新しく増える負担のペースはゆるやかになってきているものの、過去に契約した分の買取コストは、契約期間が満了するまで消えない——これが今の実態です。今後数年は、単価が下がる年もあれば、また上がる年もある、という前提で家計を組んでおくのが現実的です。
家計としてできること
賦課金そのものは避けられませんが、「賦課金がかかった上での電気代」を下げることはできます。
- 使用量そのものを減らす:賦課金は使用量に比例するので、節電はここにも効きます。エアコンの設定温度・フィルター掃除など基本の対策は電気代を月2,000円以上節約する全手順にまとめています
- 基本料金・従量料金の部分は乗り換えで下げる:賦課金以外の部分は電力会社によって差があります。電気・ガス補助が終わる前に乗り換えを検討する記事も参考にどうぞ
- 明細を年1回はチェックする習慣を:単価は毎年変わります。「今年もこんなものか」で終わらせず、たまに内訳を見る癖をつけておくと、じわじわ増える負担に気づきやすくなります
よくある疑問
Q. 太陽光発電を自宅に設置していれば関係ない? A. いいえ、自分の家で使う電気には引き続き賦課金がかかります。売電している場合でも、購入している電力量には課金されます。
Q. オール電化の家庭は影響が大きい? A. 使用量(kWh)に比例するので、電気の使用量が多い家庭ほど、値上げの実額も大きくなります。オール電化やEVを使っている家庭は要注意です。
Q. 来年はまた上がりますか? A. 確定的なことは言えませんが、過去の買取契約が残っている限り、上下しながらも当面は負担が続くと見ておくのが現実的です。
まとめ——気づかない値上げに、気づく
- 2026年度の再エネ賦課金は1kWhあたり4.18円で過去最高。制度開始以来、初の4円台
- 2026年5月の検針分からすでに適用中。7月からの新しい話ではない
- 標準家庭で年間約720円の負担増(使用量が多いほど増える)
- 電力会社を変えても、この賦課金だけは避けられない
- 完全になくなるのは2032年以降の見込み。当面は「かかり続けるもの」として家計に組み込むのが現実的
今日やる1つを挙げるなら——次に電気の明細が届いたら、「再エネ発電賦課金」の欄を一度だけ確認してみる。金額そのものは変えられなくても、「何にいくら払っているか」を知っているだけで、他の固定費を見直す動機になります。
本記事は、NISA・家計改善を実践する会社員が、公的機関の情報をもとに執筆しています。
本記事は2026年7月時点の経済産業省の公表情報に基づいています。賦課金単価は年度ごとに改定され、今後変更される可能性があります。最新の単価・制度詳細は経済産業省・資源エネルギー庁の公式サイトでご確認ください。