同僚が「今月の給与、なんか手取り増えとう気がする」と言い出したのが5月のこと。有給を使ったわけでも残業したわけでもない。総務に聞いてみたら、答えは「通勤手当の非課税枠が広がったから」でした。
2026年4月から、マイカーや自転車で通勤する人の通勤手当の非課税限度額が改正されています。ニュースでは大きく取り上げられませんでしたが、地味に効くやつです。しかも今回は駐車場代まで非課税の対象に加わりました。
この記事では、何がどう変わったのか、あなたの給料にどう影響するのかを、2026年現在の情報で整理します。
まず結論:長距離のマイカー通勤者は非課税枠が拡大
今回の改正のポイントは2つです。
- マイカー・自転車通勤で、片道65km以上の長距離区分に、新しく4段階の区分が追加。最大で月66,400円まで非課税に
- 駐車場代(会社が負担・本人が負担どちらのケースも想定)が、月5,000円を上限に非課税枠へ上乗せできるようになった
適用は2026年4月1日以後に支払われる通勤手当から。すでに始まっています。電車・バス通勤の非課税限度額(月15万円)は今回変わっていません。変わったのはマイカー・自転車などの「交通用具使用者」の枠です。
そもそも通勤手当の非課税って何?
会社から支給される通勤手当は、一定額まで所得税がかかりません(非課税限度額の範囲内)。この枠を超えた分だけ、給与として課税対象になります。
- 電車・バスなど公共交通機関:合理的な運賃等の額(月15万円が上限)
- マイカー・自転車などの交通用具:通勤距離に応じて段階的に金額が決まる
マイカー通勤の非課税限度額は、長らく「片道55km以上は月31,600円」が最高区分でした。この上限が長距離通勤者にとって薄い、という声を受けて、2026年度税制改正で見直しが入った形です。
何が変わったのか——新しい距離区分
改正前は、片道55km以上はひとまとめで月31,600円が上限でした。改正後は、片道65km以上に新しく4段階の区分が設けられ、距離が伸びるほど非課税枠も上がる設計になっています。最も長い区分では月66,400円まで引き上げられました。
背景にあるのは、ガソリン価格の高騰と物価上昇です。地方在住で長距離通勤せざるを得ない会社員にとって、実質的な負担が非課税枠を上回ってしまっている、という実態を踏まえた見直しと説明されています。
具体的な距離区分ごとの金額は細かく分かれているため、正確な数字は国税庁の公式ページで確認するのが確実です。自分の通勤距離がどの区分に当たるかは、会社の総務・経理に聞くのが早いと思います。
地味に大きい:駐車場代の非課税化
個人的には、こちらのほうがインパクトがあると思っています。
一定の要件を満たす駐車場等を利用し、その料金を負担している人については、通勤距離の区分に応じた非課税限度額に、駐車場料金相当額(上限月5,000円)を加算できるようになりました。
これまで、マイカー通勤者が自腹で駐車場代を払っているケースは珍しくありませんでした。ガソリン代・車両の維持費に加えて、駐車場代も実質的な通勤コスト。ここに非課税枠で光が当たったのは、地方勤務や郊外オフィスの会社員にとって、じわっとありがたい話です。
会社員として、何をすればいい?
基本的に、手続きはあなたがする必要はありません。非課税限度額の計算・給与への反映は会社(給与担当)が行います。ただし、次の点は自分でも確認しておく価値があります。
① 自分の通勤距離・手段が対象か確認する
マイカー・自転車通勤で、片道65km以上(またはそれに近い距離)の人は、特に影響が大きい区分です。「うちは対象外やろ」と思わず、一度総務に確認してみてください。
② 駐車場代を自己負担している人は、会社に申告しているか確認する
駐車場代の非課税加算は、会社が把握して初めて反映される仕組みです。今まで「駐車場代は個人の負担」として何も申告していなかった人は、総務に相談すれば非課税枠に反映してもらえる可能性があります。黙っていても向こうから聞いてくれるとは限りません。
③ 給与明細の通勤手当欄を見比べる
4月以降の明細で、通勤手当の額や課税・非課税の内訳が変わっているか確認してみましょう。会社によって反映のタイミングが多少前後することもあります。
なぜこのタイミングでの改正なのか
通勤手当の非課税限度額は、物価や交通費の実態に合わせてこれまでも見直されてきました。今回の改正は、ガソリン価格の高騰・車両維持費の上昇という、ここ数年の物価動向を反映したものと位置づけられています。
電車・バス通勤者の非課税枠(月15万円)はもともと十分に高いため、実質的に「困っていた層」であるマイカー・自転車の長距離通勤者に絞って手当てされた、という見方ができます。
よくある質問
Q. 電車通勤の人には関係ない改正?
A. 今回改正されたのはマイカー・自転車など交通用具使用者の非課税限度額です。公共交通機関の非課税限度額(月15万円)は変更されていないため、電車・バス通勤者への直接の影響はありません。
Q. 非課税枠を超えた通勤手当はどうなる?
A. 超えた部分は給与として課税対象になります(所得税・住民税、社会保険料の計算対象にも含まれます)。今回の改正で非課税枠が広がったことで、これまで課税されていた部分が非課税に切り替わり、手取りが増える人もいます。
Q. 駐車場代の非課税化、上限5,000円を超えたら?
A. 上限を超えた部分は、これまでどおり課税対象です。あくまで「月5,000円まで」が非課税加算の上限です。
Q. すでに4月分の給与で反映されていないけど大丈夫?
A. 会社によって、給与システムの改修や年末調整でのまとめての反映など、タイミングが異なる場合があります。心配な場合は総務・経理に直接確認するのが確実です。
まとめ
- 2026年4月から、マイカー・自転車通勤の非課税限度額が改正された
- 片道65km以上に新4区分が新設され、最大月66,400円まで非課税に
- 駐車場代も月5,000円を上限に非課税枠へ加算できるようになった
- 手続きは会社側が対応するが、通勤距離・駐車場代の自己負担がある人は総務に確認する価値あり
- 電車・バス通勤の非課税枠(月15万円)は変更なし
給与明細って、毎月同じように見えて、実はこうやって少しずつルールが変わっています。「なんか手取り増えとう」と気づいた同僚のように、たまには通勤手当の欄もチェックしてみてください。地味な改正ほど、見逃されがちですから。
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本記事は、NISA・家計改善を実践する会社員が、自身の経験と公的機関の情報をもとに執筆しています。
本記事は2026年7月時点の情報に基づいています。通勤手当の非課税限度額の改正内容は国税庁の公表資料によります。具体的な距離区分ごとの金額・適用条件は、国税庁公式情報および勤務先の給与担当に必ずご確認ください。