29歳のとき、「攻めた方が早く増える」という理由だけで株式100%のポートフォリオを組んでいた。ところが転職で3ヵ月収入が途切れたタイミングで、生活費のために投資口座から20万円を引き出さざるを得なくなった。引き出した月がちょうど相場の底だったので、その後の値上がりを全部逃した。その後の上昇率が30%だったとすれば、引き出した20万円が26万円になれたはずだ。「自分のリスク許容度」を考えずに投資を始めると、こういう失敗をする。
リスク許容度とは何か
リスク許容度とは「どれくらいの損失まで精神的・経済的に耐えられるか」を表す概念だ。「耐えられる」には2つの意味がある。
経済的な耐性: 実際にお金が減っても生活が成り立つか 心理的な耐性: 評価額が下がっても売らずに保有し続けられるか
この2つが揃っていないと、相場が悪いときに「損切り」して長期投資のメリットを全部捨てることになる。
リスク許容度は以下の要素で変わる:
- 年齢(若いほど時間があるためリスクを取りやすい)
- 収入・安定性(安定した収入があるほど余裕ができる)
- 貯金額(生活防衛資金が確保されているか)
- 家族構成(扶養家族が多いほど守りが必要)
自分のリスク許容度を確認するチェックシート
Q1:金融資産は生活費の何ヵ月分あるか
- 3ヵ月未満 → まず貯蓄優先。投資は後回し
- 3〜6ヵ月 → 保守的配分(株式40〜50%)
- 6ヵ月以上 → 標準的配分が可能(株式60〜70%)
Q2:今後5年以内に大きな出費がある予定か
- ある(住宅購入・結婚・子ども進学など)→ その資金は投資口座に入れない
- ない → 余剰資金すべてを投資対象にできる
Q3:評価額が20%下落したときの気持ちは?
- 「すぐ売りたくなる」 → 株式比率を低めに設定
- 「心配だが保有継続できる」 → 標準的な配分でOK
- 「安く買い増しできるチャンス」 → 株式比率を高めに設定してよい
Q4:毎月いくら投資に回せるか
- 1万円以下 → 少額でもOK。まず習慣化が最優先
- 1〜5万円 → 株式60%・債券40%あたりを基準に調整
- 5万円以上 → 株式70%前後で積極運用も視野に
Q5:投資目的は何年後か
- 5年以内 → 株式比率50%以下に抑える
- 10〜20年後 → 株式70%程度で長期成長を狙う
- 20年以上 → 株式80%以上でも耐えられる時間がある
「でも自分の許容度なんてわからない…」という人は、まずQ3の「20%下落で売りたくなるかどうか」から考えるといい。直感が最も正直に出る質問だ。
年代別・具体的な投資配分の目安
30代・月収30万円・貯金150万円・独身の場合 → 生活防衛資金:90万円(6ヵ月分)、残り60万円で投資開始 → 配分目安:株式70%・債券30% → 毎月の積立:3万円(株式2万円+債券1万円)
30代・月収35万円・貯金300万円・子ども1人の場合 → 生活防衛資金:120万円確保済み、残り180万円が投資元本 → 配分目安:株式60%・債券40% → 毎月の積立:3万円(株式1.8万円+債券1.2万円)
40代・月収40万円・貯金500万円・住宅ローンあり → 配分目安:株式50%・債券50%(守りと攻めのバランス) → 毎月の積立:2万円。焦らず着実に積み上げる
リスク許容度は固定ではなく、人生のステージとともに変わる。毎年1回、自分の状況を見直して配分を調整するのが理想だ。
今日できる最小アクション: 上記Q1〜Q5のチェックシートに答えて、自分のリスク許容度を「高・中・低」で判断する(10分)。その結果に合った株式・債券の比率を書き留める。