「家族のために」という言葉に背中を押されて、28歳のときに月9,000円の終身保険に加入した。当時の私は独身で、扶養する家族は誰もいなかった。3年間払い続けて気づいた。32万4,000円もの保険料が、誰の役にも立っていないと。その後解約したが、無知のコストはそれだけで終わらなかった。
生命保険の必要性は「1つの質問」で決まる
生命保険が必要かどうかは、ほぼ1問で決まる。
「あなたが亡くなったとき、経済的に困る人がいるか?」
- いる → 生命保険が必要
- いない → 不要(または最小限でよい)
| ケース | 経済的に困る人 | 保険の必要性 |
|---|---|---|
| 独身・親への仕送りなし | いない | ほぼ不要 |
| 既婚・子あり・住宅ローンあり | 配偶者・子ども | 必要 |
| 既婚・共働き・ローンなし | 配偶者 | 小額でよい場合も |
| 貯金3,000万円以上 | いても資産でカバー可 | 不要〜最小限 |
28歳・独身・親への仕送りなし、という状況の私には「ほぼ不要」が正答だった。それでも月9,000円を払い続けていたのは、この問いを立てたことがなかったからだ。
必要額は「この計算式」で出す
保険が必要だとわかったら、次は金額を数字で出す。感覚や営業の言葉に頼るのは禁物だ。
必要保障額 = (住宅ローン残額 + 教育費の不足分) − (貯金 + 配偶者の生涯収入)
例:35歳・妻と子ども1人・住宅ローン残2,000万円
- 住宅ローン:2,000万円
- 子どもの教育費(大学まで):約400万円
- 貯金:600万円
- 妻の収入(月20万円 × 12ヶ月 × 20年):4,800万円
計算すると:2,000万 + 400万 − 600万 − 4,800万 = マイナス3,000万円
つまり、すでに保障は足りている。多くの保険営業は「5,000万円の保険を」と提案するが、自分で計算すると「不要か、あっても1,000万円程度」という結論になることは珍しくない。
「でも万一のとき後悔したくない」という不安への答え
「計算上は不要でも、実際に使えなかったら後悔しそう」と感じた人へ。
安心感のための保険なら、月3,000円の掛け捨て定期保険1,000万円で十分だ。年3万6,000円の出費で「万一のとき」はカバーできる。それ以上の保険料を払うのは「安心料」ではなく「情報不足料」になりやすい。
保険を見直す3つのタイミング
- 子どもが独立したとき:教育費の負担がなくなれば、必要保障額は大きく下がる
- 貯金が1,000万円を超えたとき:資産でカバーできる範囲が広がる
- 住宅ローンを完済したとき:団信でローンはカバー済み。別途大きな保険は不要になるケースが多い
今週できる最小アクション
「あなたが亡くなったとき、経済的に困る人はいるか」を書き出してみる。いる場合は上の計算式に数字を当てはめ、本当に必要な保障額を出す。これだけで保険の過不足が見えてくる。
これは「自分が亡くなったときに誰かが経済的に困る」状況の人に向けた話だ。独身で扶養家族がいない人は、まずその前提から確認を。
次回は「掛け捨てvs積立型保険、どちらが得か」。「お金が戻ってくる保険」の実態を数字で比較する。