「掛け捨ては払い損になるから、返戻金がある積立型の方が絶対お得です」。29歳のとき、保険会社所属のFPにそう言われて月1万円の積立型保険に切り替えた。3年後、自分で計算してみて青ざめた。同じお金をインデックスファンドに入れていたら、元本を上回っていた可能性があったからだ。「返戻金がある=得」という思い込みに、3年分の機会損失を払わされた。
「お金が戻る」の落とし穴——積立型の実態
積立型の「返戻率」の数字をそのまま信じてはいけない。
| 保険タイプ | 月額保険料 | 20年後の手元資金 | 実質利回り |
|---|---|---|---|
| 積立型終身保険 | 1万円 | 約228万円(240万円払って) | 約0.5〜1% |
| 掛け捨て定期保険(同等保障) | 3,000円 | 0円 | − |
| 差額7,000円をインデックスで運用 | 7,000円 | 約220万円(年利4%想定) | 約4% |
「掛け捨て + 差額投資」の組み合わせは、積立型とほぼ同額が手元に残り、さらに保障は手厚くなる。「返戻金がある」は事実だが、それが最善の選択かどうかは別の話だ。
どちらが向いているか——ライフプランで決まる
「掛け捨てが絶対得」とは言い切れない。向き不向きがある。
掛け捨てが向いている人:
- 子どもの教育費が終わる20年など、期間限定で保障が必要な人
- 住宅ローン完済まで(あと15年など)だけ保障が欲しい人
- 差額を自分で投資できる自律性がある人
積立型が向いている人:
- 貯蓄が続かない、強制的に積み立てる仕組みが欲しい人
- 生涯にわたって死亡保障が必要な特別な事情がある人
- 保険として使いながら一定の元本保全も求める人
20〜40代の一般的な会社員の多くは「掛け捨て + 差額を投資」の組み合わせが最も効率的だ。ただし「投資を続けられるか」という自己管理の問題があるため、積立型が「向いている」人も確かにいる。
「でも積立型は保証があるから安心では」という反論への答え
「投資は損するかもしれないが、保険は返戻金が確定している」という声はよく聞く。
確かに積立型の返戻率は確定的だ。ただ、実質利回り0.5〜1%は、インフレ(年2%程度)に負けている可能性がある。「名目上は損していないが、実質的な購買力は下がっている」という状態になりやすい。元本保証を優先したい気持ちはわかるが、20年という長期では物価上昇を無視できない。
今すぐできる比較の3ステップ
ステップ1:今の保険料を確認する 積立型なら、月の保険料・払込総額・返戻金の額を保険証券で確認する。
ステップ2:掛け捨て同等保障の保険料を調べる ネット保険(ライフネット生命など)で同額保障の掛け捨て保険料を確認する。月5,000〜8,000円安くなることが多い。
ステップ3:差額を複利計算する 差額 × 月数 × 年利3〜5%(想定)で20年後の資産額を計算する。多くの場合、掛け捨て + 投資のほうが有利な数字が出る。
今週できる最小アクション
今加入している保険の「月額保険料」と「20〜30年後の返戻金」を保険証券で確認する。数字を書き出すだけでいい。
これは「現在積立型保険に加入していて、本当に得かどうかを検証したい人」に向けた内容だ。すでに掛け捨てに切り替えている人は、差額が本当に投資に回っているかを確認してみてほしい。
次回は「終身保険の罠と、本当に活用すべき人のケース」。保険のセールストークに乗せられないための知識を整理する。
新NISAを始めるなら: 手数料ゼロ・クレカ積立でポイント還元が高いSBI証券または楽天証券がおすすめです。