「投資は怖いから保険でしっかり守る」——そう信じて月2万円以上を保険に注ぎ込んでいた。30歳になって気づいた。保険は資産を増やすものではなく、リスクをカバーするものだ。28歳から30歳までの2年間で払い込んだ余分な保険料は約50万円。その分を投資に回していれば、年利5%で20年後には130万円以上になっていた計算だ。「守り」に偏りすぎることが、長期的には資産を削る。
1. なぜ、あなたの保険料は払いすぎなのか
保険は「万が一のときに家族を守るための金銭的サポート」だ。ところが多くの人が「保険はとにかく充実させるべき」と誤解している。
具体例を見てみよう。30代会社員・田中さん(年収500万円)の場合、毎月の保険支出は「生命保険1.5万円、医療保険5,000円、がん保険4,000円、自動車保険8,000円」で月3.7万円、年間44万円だ。これは家計の約11%。一般的な適正水準は5〜10%とされているので、明らかに過剰だ。
問題は「複数の保険が重複している」ことだ。医療保険とがん保険の入院給付金が両方出たり、生命保険も定期型と終身型の両方に入っていたりする。
本当に必要な保険は、年収の5〜10倍の死亡保障(子どもがいる場合)と、医療保険のシンプルな組み合わせだけだ。無駄を削ると月1.5万円程度に圧縮できる。浮いた月2.2万円(年26万円)を30年投資に回せば、約1,000万円の資産になる可能性がある。
「でも何かあったときのために多めに入っておいた方が安心では…」——「何かあったとき」が具体的にどんな状況か、金額で計算したことがあるか。計算してみると、実際に必要な保障額は「なんとなく」のイメージよりずっと少ないケースがほとんどだ。まず数字を出してから保険の過不足を判断する。
2. あなたの保障を診断する3つの質問
保険の見直しは3つの質問に答えるだけで、必要な保障が見えてくる。
質問1:万が一のとき、残された家族の生活費は? 配偶者と子ども2人がいる場合、月25万円の生活費が必要だとする。子どもが独立するまで15年で約4,500万円必要だ。ただし配偶者の給与や遺族年金(月13万円程度)で月15万円はカバーできるので、実際の死亡保障額は月10万円×15年=1,800万円あれば足りる。子どもがいなければ500万円程度で十分なケースがほとんどだ。
質問2:入院したとき、貯蓄でカバーできるか? 入院費は月10万円かかると誤解している人が多いが、実際には月5万円程度(個室料金含む)だ。高額療養費制度で月の自己負担額は約9万円に制限される。貯蓄が100万円あれば、医療保険は不要か最小限で大丈夫だ。
質問3:その保険、解約時にいくら戻ってくる? 終身保険や養老保険は「貯蓄型」で解約返戻金がある。定期保険は「掛け捨て」で戻らない。貯蓄型保険を持っていれば、定期保険との重複は不要だ。書類を確認して解約返戻金をチェックしてみる。
「でも子どもが生まれたばかりで保険を減らすのは不安…」——子どもがいる場合こそ「死亡保障」に絞ることが重要だ。月3,000〜5,000円の掛け捨て定期保険で、1,000万〜2,000万円の死亡保障を確保できる。その他の医療保険やがん保険は後回しにして、まず死亡保障だけを計算して最適化する。
3. 浮いたお金を投資に回すシンプルな戦略
保険を見直して月2万円浮いたなら、それは投資の種金だ。20〜40代なら残り20〜40年の運用期間がある。
ステップ1:貯蓄と投資の比率を決める まず3ヶ月分の生活費(約75万円)の緊急資金を用意することが鉄則だ。その上で、浮いた月2万円の使い道を「貯蓄5割(月1万円)、投資5割(月1万円)」に分ける。
ステップ2:投資はつみたてNISAから始める つみたてNISAは年間40万円まで20年間非課税で投資できる制度だ。月1万円なら年12万円。年利5%で20年運用すると、元本240万円が約400万円になる計算だ。
ステップ3:保険料の削減額を毎月自動積立に設定する 浮いた保険料を「使えるお金」にしないことが最重要だ。口座振替で自動的に積み立てられるよう設定し、手元に来る前に投資に回す仕組みを作る。
今日できる最小アクション
自分が毎月払っている保険料の合計額を出し、「手取り月収の何%か」を計算する。 10%を超えていれば、見直しの余地がある。この計算だけで、今日の15分が将来の数百万円の差につながる。
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