「利回りが高い順に並べて上から買えばいいんでしょ」——NISA口座でJ-REITを初めて買ったときの判断はそれだった。半年後、最初に選んだ銘柄の分配金がガクっと減った。入居率が87%まで落ちていたのに、表面の利回り7.2%しか見ていなかったのだ。入居率が低い物件の高利回りは「切り崩し中の貯蓄から払っているお金」と同じことがある。この経験で失った分配金は年間で数万円規模だった。数字の裏を読む習慣を、最初から持っていれば防げた損失だ。
J-REITの仕組みをおさらいする
J-REITは「不動産投資信託」の略で、複数の投資家からお金を集めて、オフィスビルやショッピングモール、マンションなどの不動産を購入・運用する金融商品だ。家賃収入を分配金として投資家に還元する仕組みで、株式投資と違うのは「実物の不動産」が背景にある点だ。
100万円をJ-REITに投資したとする。そのお金はオフィスビルの購入資金の一部になり、そのビルから集まった家賃があなたへの分配金となる。現在の平均分配金利回りは3〜4%程度で、銀行の定期預金(0.1%未満)と比べると圧倒的な差がある。
ただしJ-REITは不動産市場と金利環境の両方の影響を受ける。金利が上がると価格は下がりやすく、経済が悪化すると家賃収入が減る可能性もある。だからこそ、選び方が重要だ。
「でもJ-REITは株より安全と聞いたけど…」——J-REITも価格は変動する。不動産市況や金利の影響を受けるため、購入価格から20〜30%下落したケースも過去にある。「不動産だから安全」という思い込みは捨て、株と同様にリスクがある金融商品として扱う。
「高利回り=良い」は危険な落とし穴
分配金利回りが高い理由には大きく2つのパターンがある。
パターン1:本当に収益が良い場合 不動産の立地が良く入居率95%以上で安定しており、家賃収入がしっかり出ている。この場合、5〜6%の利回りは本物だ。
パターン2:危険な高利回りの場合 「特別分配金」と呼ばれる、実質的に投資家が預けたお金の一部を返している場合がある。一時的に利回りが高く見えるが、資本が減っているため長期的には危険だ。
比較してみよう。
| 項目 | A信託 | B信託 |
|---|---|---|
| 分配金利回り | 4.5% | 7.2% |
| 入居率 | 98% | 87% |
| 安定性 | 過去3年間安定 | 最近キャンセル増 |
多くの初心者はB信託に飛びつく。しかし入居率が低く、今後さらに分配金が減る可能性が高い。見かけの利回りは高くても、実は不安定な状態だ。有価証券報告書で①入居率、②家賃の増減傾向、③債務比率を確認することが、本物の利回りを見極める鍵だ。
「でも有価証券報告書なんて難しくて読めない…」——必要なのは3つの数字だけだ。「入居率(90%以上か)」「直近3年の分配金の推移(増えているか安定しているか)」「LTV(負債比率、60%以下が目安)」。この3点だけを確認すれば、危険な高利回り銘柄の大半は除外できる。
実践的な選び方——3つのチェックポイント
J-REITを選ぶときに実行すべき3つのチェックポイントだ。
①セクターを分散させる 住宅系・物流系・オフィス系など複数セクターに分ける。1つのセクターに偏ると、そのセクターが不況になったとき損失が集中する。
②入居率が直近3年間で90%以上を維持しているか確認する 90%を切る銘柄は分配金の安定性に疑問がある。投資前に必ずチェックする。
③分配金の実績が5年以上安定して支払われているか調べる 過去5年間の分配金推移を確認する。増配または安定している銘柄が理想だ。
住宅系と物流施設系の2種類に絞り、利回り4%前後を安定して受け取り続ける方が、高利回りを追いかけて分配金が激減するリスクを負うより合理的だ。
今日できる最小アクション
J-REIT情報サイト(「REIT Data」や「J-REIT.jp」)で、住宅系REITの入居率と直近3年の分配金推移を1銘柄分確認する。 利回りの数字だけでなく、入居率と分配金の安定性を自分の目で見る習慣を今日から始める。
新NISAを始めるなら: 手数料ゼロ・クレカ積立でポイント還元が高いSBI証券または楽天証券がおすすめです。