住宅ローンを組んでから、「繰り上げ返済すべきか、投資に回すべきか」という問いに何度も向き合いました。
「ローンは早く返すべき」という親世代の意見と、「低金利時代は投資の方が得」という情報の間で1年以上迷いました。
実際に計算して出した結論と、その判断プロセスを書きます。
前提:我が家のローン状況
- 借入額:3,500万円
- 金利:変動金利 0.4%(借り入れ時)→ 2026年現在 0.7%
- 残り期間:28年
- 月々の返済額:約105,000円
2026年に入ってから金利が上がり始めました。「これからも上がるのでは」という不安が繰り上げ返済への気持ちを後押しした面があります。
繰り上げ返済の効果を具体的に計算した
100万円を繰り上げ返済した場合の効果(現在の金利0.7%):
「期間短縮型」を選んだ場合:
- 短縮される期間:約10ヶ月
- 節約できる利息:約80,000円
「返済額軽減型」を選んだ場合:
- 毎月の返済額:約3,000円減
- 総利息の節約:約70,000円(長期的)
どちらを選んでも、100万円の繰り上げ返済で節約できる利息は7〜8万円程度。
利回りに換算すると年率0.7〜0.8%。
これが「繰り上げ返済の実質リターン」です。
同じ100万円を投資に回した場合と比較する
同じ100万円をインデックスファンドに投資した場合(年利5%想定):
| 年数 | 元本 | 残高(試算) | 利益 |
|---|---|---|---|
| 5年後 | 100万円 | 約128万円 | +28万円 |
| 10年後 | 100万円 | 約163万円 | +63万円 |
| 20年後 | 100万円 | 約265万円 | +165万円 |
| 28年後(完済時) | 100万円 | 約387万円 | +287万円 |
繰り上げ返済の節約利息:約80,000円 投資28年後の想定利益:約287万円
単純な数字の比較では「投資の方が圧倒的に有利」という結論になります。
「数字が示す通りに投資する」を選ばなかった理由
計算では「投資の方が得」という結論になります。
でも私が選んだのは「繰り上げ返済3割、投資7割」という折衷案でした。
理由を整理します。
理由①:変動金利のリスク
2026年現在、変動金利が上昇し始めています。
「0.7%の低金利が28年間続く」という前提で「投資有利」と計算しましたが、金利が2%になれば計算が変わります。
金利別・100万円繰り上げ返済の節約利息(概算):
| ローン金利 | 100万円繰り上げ返済の節約利息 |
|---|---|
| 0.7% | 約80,000円(年利0.7〜0.8%) |
| 1.5% | 約170,000円(年利1.5〜1.8%) |
| 2.0% | 約230,000円(年利2.0〜2.3%) |
| 3.0% | 約340,000円(年利3.3〜3.6%) |
金利が3%を超えてくると、「繰り上げ返済 vs 投資」の優位性が逆転する可能性が出てきます。
今後の金利動向は誰にも分からない。「保険」として一部は繰り上げ返済する合理性があります。
理由②:心理的な安心感
「残債が減っている」という安心感は、数字にならない価値があります。
投資がどれだけ増えていても、ローン残債が2,000万円以上あると「万が一収入が途絶えたとき」の不安が消えません。
繰り上げ返済で残債を減らすことで、「毎月の返済負担が軽くなる」という実感が得られます。これが長期でローンを払い続けるメンタルの維持につながります。
理由③:投資は元本保証がない
株式投資の年利5%はあくまで「過去の長期平均」です。
28年間に2〜3回は大きな下落相場がある可能性があります。「リーマンショック級の暴落 + 回復に10年」という最悪シナリオを考えると、「全額投資」は心理的にも現実的にも難しい。
実際に選んだ配分と理由
年間の余剰資金100万円(ボーナスなど)の使い道:
| 使い道 | 割合 | 金額 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 繰り上げ返済 | 30% | 30万円 | 変動金利リスクへの対策・心理的安心 |
| NISA(インデックス投資) | 50% | 50万円 | 長期の資産形成 |
| 現金貯蓄(緊急時用) | 20% | 20万円 | 生活防衛資金の積み増し |
この配分を決めた条件:
- 生活防衛資金(6ヶ月分)はすでに確保済み
- 変動金利が2%以上になったら繰り上げ返済の比率を上げる
- 金利が3%を超えたら「全額繰り上げ返済」も検討する
繰り上げ返済の「タイプ」を正しく選ぶ
繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」があります。
期間短縮型: 返済期間を短くする。毎月の返済額は変わらない。総利息の節約効果が大きい。
返済額軽減型: 毎月の返済額を下げる。返済期間は変わらない。毎月のキャッシュフロー改善に効果的。
どちらが有利かは状況によりますが、総利息節約の観点では「期間短縮型」の方が節約効果が高いことが多いです。
我が家は期間短縮型を選んでいます。「早く返し終わる」という感覚が、心理的な満足度にもつながっています。
「繰り上げ返済か投資か」に正解はない
最終的な結論として、「繰り上げ返済か投資か」に絶対的な正解はありません。
投資を優先すべき状況:
- ローン金利が1%未満で当面安定している
- 投資の長期リターンを信頼できる
- 心理的にリスクを取れる
- 生活防衛資金が十分確保されている
繰り上げ返済を優先すべき状況:
- 変動金利が上昇トレンドにある
- 毎月の返済が家計を圧迫している
- 将来の収入が不安定(フリーランス・転職検討中など)
- ローン残債が重荷に感じる
結論:自分のリスク許容度と金利水準で配分を決める
「計算上の正解」と「自分が安心して継続できる配分」は別物です。計算では投資有利でも、ローン残債が気になって夜眠れないなら、繰り上げ返済を優先する方がいい。
精神的に安定していることが、長期の資産形成には不可欠です。
マネーフォワード ME
住宅ローン残高と投資残高を同時に管理できます。「今の残債はいくらか」「投資はいくら増えているか」を一画面で把握することで、繰り上げ返済と投資の配分を判断しやすくなります。
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本記事はFP(ファイナンシャルプランナー)の知識をもとに執筆しています。
本記事は2026年時点の情報に基づいています。住宅ローン金利・投資の利回りは変動します。投資はリスクを伴います。最新情報は日本銀行・金融庁の公式サイトをご確認ください。