住宅を購入するとき、不動産会社に「月々の返済は8万円です」と言われました。
「今の家賃が7万円だから、大して変わらない」と思った。
でも実際の計算をしてみると、月8万円という数字は「住宅ローンの返済額だけ」で、その他のコストが別にかかることが分かりました。
「本当のコスト」を知ってから購入すべきだったと今は思っています。
月8万円の住宅ローン、実際にかかるコスト
3,000万円を借りた場合(金利1.5%・35年固定の概算)のシミュレーション:
- 毎月の返済額:約9.1万円(元利均等返済)
- 35年間の総返済額:約3,813万円
- 金利分:約813万円
「3,000万円借りて、813万円が利息として余分に払う」という計算です。
この返済額に加えて、マンション購入の場合は以下のコストが毎月かかります。
マンション(管理費・修繕積立金)の場合:
| 費用 | 月額 |
|---|---|
| 住宅ローン返済 | 約9.1万円 |
| 管理費 | 1〜2万円 |
| 修繕積立金 | 5,000〜2万円 |
| 固定資産税(月割り) | 約1〜1.5万円 |
| 火災保険・地震保険(月割り) | 約3,000〜5,000円 |
| 合計 | 約12〜15万円/月 |
「月8万円の返済」と聞いていたが、実際の住居費は月12〜15万円になる場合があります。
購入時にかかる初期費用
住宅購入では、物件価格以外にも大きな初期費用がかかります。
新築マンション3,500万円の場合:
| 費用 | 金額 | 内容 |
|---|---|---|
| 頭金 | 350万円 | 物件価格の10%(目安) |
| 仲介手数料 | 0〜119万円 | 新築は通常なし、中古は3%+6万円+消費税 |
| 諸費用(登記・ローン手数料等) | 70〜100万円 | 物件価格の2〜3%程度 |
| 引越し代 | 10〜20万円 | — |
| 家具・家電 | 30〜100万円 | 購入が必要なもの |
合計(頭金含む):460〜689万円
「物件価格の10%を頭金として出せばいい」という感覚でいると、諸費用が追加で必要なことを見落とします。
変動金利の「リスク」を理解する
住宅ローンの金利には「固定金利」と「変動金利」があります。
変動金利の特徴:
- 現在の変動金利:0.3〜0.7%程度
- 半年ごとに見直し(上がることも下がることも)
- 固定金利より当初の返済額が低い
変動金利のリスク:
3,000万円・0.4%変動金利の場合:
- 月返済:約7.6万円
同額・固定1.5%の場合:
- 月返済:約9.1万円
変動金利は「今のところ」月1.5万円安いですが、金利が上昇した場合に返済額が増えるリスクがあります。
金利が1%上昇した場合:
- 0.4% → 1.4%変動の場合、月返済が約7.6万円 → 約9.2万円に増加
「金利が上がっても払い続けられるか」を確認した上で変動金利を選ぶことが重要です。
繰り上げ返済の効果
住宅ローンの返済期間中、余剰資金ができたときに「繰り上げ返済」をすると利息を減らせます。
3,000万円・固定1.5%・35年ローンの場合:
5年後に100万円を繰り上げ返済すると:
- 利息の軽減効果:約30〜40万円
- 返済期間の短縮:約1年短縮
「100万円繰り上げで30〜40万円の利息が減る」という計算です。
ただし、繰り上げ返済は「手元の現金を使う」ことになります。
生活防衛資金(生活費3〜6ヶ月分)を残した上で行うことが大前提です。
また、繰り上げ返済とNISA・iDeCoの投資どちらが得かは「ローン金利」と「投資の期待リターン」の比較になります。
金利1.5%で固定されているローンに対して、長期のインデックス投資が年4〜6%のリターンを期待できるなら、「投資を優先」という考え方もあります。
住宅ローン控除(減税)を活用する
住宅ローン控除は、住宅ローン残高の0.7%(年間最大35万円)が所得税・住民税から控除される制度です。
年間控除額の試算:
ローン残高3,000万円 × 0.7% = 21万円の控除/年
「21万円が税金から返ってくる」という効果です(税額控除のため、実際の節税額は所得・税率による)。
控除期間は新築は13年(2024年以降入居の場合)です。
住宅ローン控除を受けるには、購入した年の確定申告が必要です(以降は年末調整で対応可能)。
住宅購入「後悔しないための」確認事項
住宅を買う前に確認しておくべき点をまとめます。
①月の住居費トータルを計算する
ローン返済だけでなく、管理費・修繕積立金・固定資産税・保険料を含めた「月の住居費合計」を計算する。
目安:世帯の手取り月収の25〜30%以内が無理のない水準。
②固定金利か変動金利かを選ぶ理由を明確にする
「変動が安いから」という理由だけでなく、「金利が2〜3%になっても払い続けられるか」を確認する。
③修繕・維持費の積立を考える
戸建ての場合、修繕費は自分で積み立てる必要があります(10〜20年後に屋根・外壁の修繕が必要になる場合が多い)。
月1〜2万円程度を「修繕積立」として別管理することをすすめます。
④「持ち家 = 資産」という認識を修正する
住宅は「住む場所」であり、「値上がりを期待できる資産」とは限りません。
地域・物件によっては購入後に価値が下がる場合もあります。「住み続ける前提で、生活費として考える」という視点が現実的です。
最後に
住宅購入は人生最大の買い物の一つです。
「月8万円の返済」という表面的な数字だけでなく、「管理費」「固定資産税」「修繕費」「金利リスク」などを含めたトータルコストを理解した上で判断することが重要です。
「思っていたより費用がかかった」というのは、情報不足によって起きることがほとんどです。
購入前に時間をかけて計算することが、長期的な家計の安定につながります。
マネーフォワード ME
住宅ローンの返済額・管理費・保険料などを一括管理して、「住居費が毎月いくらかかっているか」を把握できます。購入前・購入後の家計シミュレーションに役立ててください。