35歳のとき、深夜に救急車で運ばれて入院しました。
腹痛が激しくなって自分で病院に行けない状態になった。
搬送された病院でそのまま緊急手術になり、2週間の入院。
「仕事も休んで、医療費はどのくらいかかるんだろう」という不安が入院中に頭をよぎりました。
退院のときに「高額療養費制度」の説明を受けて、医療費の自己負担が思ったより少なかった話を書きます。
入院・手術の費用の全貌
2週間の入院・緊急手術(腹腔鏡)の費用の概算を開示します。
医療費明細(概算):
| 内容 | 費用(3割負担前) |
|---|---|
| 緊急手術(腹腔鏡) | 約85万円 |
| 麻酔料 | 約15万円 |
| 入院料(14日) | 約20万円 |
| 検査・薬剤等 | 約10万円 |
| 合計(保険適用部分) | 約130万円 |
保険適用3割負担:130万円 × 30% = 39万円
「39万円を突然払えるか」という問題が発生します。
これが高額療養費制度によって大きく変わりました。
高額療養費制度とは
高額療養費制度は、同じ月(1日〜末日)の医療費(保険適用の自己負担分)が一定額を超えた場合、超えた分が後で払い戻される制度です。
自己負担限度額の計算(2024年時点):
年収によって上限が変わります。
| 年収区分 | 月の自己負担限度額(目安) |
|---|---|
| 年収約1,160万円超 | 約25.2万円 |
| 年収約770〜1,160万円 | 約16.7万円 |
| 年収約370〜770万円 | 8万100円+(医療費−26.7万円)×1% |
| 年収約370万円以下 | 約5.7万円 |
| 住民税非課税 | 約3.5万円 |
年収370〜770万円(いわゆる「一般」区分)の計算式:
80,100円 + (総医療費 − 267,000円)× 1%
例:総医療費130万円の場合: 80,100円 + (1,300,000円 − 267,000円)× 1% = 80,100円 + 10,330円 = 約90,430円
3割負担なら39万円払うところが、高額療養費制度で約9万円の自己負担になりました。
差額:30万円が払い戻された計算です。
高額療養費を受け取る手続き
①事後申請(後で払い戻し)
医療機関での支払いをいったん済ませ、翌月以降に健保組合または国保に申請します。
申請から2〜3ヶ月後に指定口座に振り込まれます。
②限度額適用認定証を使う(事前申請)
入院・高額な治療が見込まれる場合、事前に「限度額適用認定証」を取得しておくと、病院の窓口での支払いが自己負担限度額まで抑えられます。
「限度額適用認定証 + 入院」の場合、最初から窓口で9万円程度しか払わなくて済む(後で戻ってくるのを待つ必要がない)。
取得方法:加入している健康保険(会社員なら健保組合、自営業・パートなら国保)の窓口・Webで申請。
③マイナ保険証を利用
マイナ保険証を対応病院で使うと、限度額認定証なしでも自動的に上限額までの支払いになる場合があります。
実際の私の入院費用
私の場合(年収450万円・一般区分)の実際の自己負担額:
- 高額療養費制度前の3割負担:約39万円
- 高額療養費制度適用後の上限:約9.1万円
- 実質的な医療費負担:9.1万円
さらに差額ベッド代(個室を選んだため):1日3,000円 × 14日 = 4.2万円
食事負担:1食460円 × 3食 × 14日 = 約1.9万円
実際に支払った総額:約15.2万円
「緊急手術・2週間入院で15万円」というのは、制度の恩恵を受けた結果です。
制度を知らずに39万円を一括で払おうとしていたら、「生活防衛資金をここで大きく使う」状況になっていました。
入院中にかかった「その他のコスト」
医療費以外にも入院中にかかったコストがありました。
仕事の収入減:
有給休暇が10日あったので、2週間のうち10日は有給で対応。残り4日は無給。
月の給料:25万円。4日分:約3.3万円の収入減。
入院グッズの購入:
パジャマ・タオル・日用品の購入(突然の入院だったため):約1.5万円
交通費(家族の見舞い):
妻が毎日来てくれた交通費:往復1,000円 × 14日 = 1.4万円
トータルの経済的影響:
- 医療費:約15万円
- 収入減:約3.3万円
- その他:約3万円
- 合計:約21万円
生活防衛資金(当時は50万円を確保)から賄えた範囲でした。
医療保険の役割
入院したとき、加入していた医療保険(月3,500円・日額5,000円型)から給付が出ました。
入院給付金:5,000円 × 14日 = 70,000円 手術給付金:5万円(一時金)
合計:12万円の給付
実際の自己負担が15万円に対して、保険給付が12万円。
「3万円の実質的な持ち出し」という結果でした。
医療保険の必要性については「高額療養費制度があれば大きな入院でも自己負担は10万円前後になることが多い」という現実と、「保険があれば収入減をカバーできる」という両面があります。
「入院リスクに対して、生活防衛資金か保険か」という選択は個人の状況によります。ただし「保険に入っているから医療費は大丈夫」と過信して生活防衛資金を持たないのは、保険の対象外の費用(差額ベッド代・食事代・通院交通費)をカバーできないため注意が必要です。
知っておきたい医療費の知識まとめ
高額療養費制度:
- 月の医療費が一定額を超えたら超過分が払い戻し
- 年収によって上限が異なる
- 限度額適用認定証で窓口支払いを事前に制限できる
医療費控除:
- 年間の医療費が10万円を超えた部分が所得控除の対象
- 確定申告で申請(会社員でも可能)
- 市販薬・通院交通費も対象になる場合がある
傷病手当金:
- 会社員(健康保険加入者)が病気・ケガで休業した場合
- 休業4日目から最大1年6ヶ月、給与の2/3程度が支給される
- 自営業・フリーランスは対象外(国民健康保険には傷病手当金がない場合が多い)
これらの制度を事前に知っておくと、「突然の病気でもある程度備えられる」という安心感があります。
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