この記事で分かること:2026年の「生命保険料控除6万円」を理由に保険料を増やすと、あなたの財布から出るお金と減る税金はどう違うか。
「控除の上限が増えたなら、今の保険を増やしたほうが得なのかな」と迷っていませんか。
年末調整の時期に「最高6万円」という数字を見ると、使い切らないともったいない気がする。
僕も「使える枠」と聞くと、埋めるほうに気持ちが動きます。
でも、今回は先に増額分だけ計算しました。
23歳未満の扶養親族がいて、生命保険料控除全体の上限12万円にかからない人が、新制度の一般生命保険料を年8万円から12万円へ増やす仮の例では、所得税率10%の追加節税は約1,021円。
保険料は4万円増えるので、税金の効果だけなら年間の支出は約3万8,979円増えます。
もちろん、増えた保険料で必要な保障が買えるなら、それには別の価値がある。
ただ、税金を減らす話と、保障を厚くする話は、分けて決めたいと思っています。
2026年に増えたのは「新一般」の所得税控除
国税庁の2026年の源泉所得税改正資料によると、23歳未満の扶養親族がいる場合、新生命保険料に係る一般生命保険料控除の計算が変わります。
通常は最高4万円のところ、特例では最高6万円。
国税庁「保険と税」では、2026年分・2027年分が対象とされています。
ここでいう控除は、「その金額がそのまま返ってくる」という意味ではありません。
税金を計算する前の所得から、一定額を差し引く仕組みです。
たとえば、控除が1万円増えて、その部分にかかる所得税率が10%なら、所得税は1,000円減る。
2026年分は復興特別所得税も含めると、単純計算で1,021円です。
「6万円がもらえる」話ではないので、家計簿に6万円の入金予定を書くのは早い。
増えるのは新制度の一般生命保険料の枠で、介護医療保険料や個人年金保険料の所得税控除は、それぞれ最高4万円のままです。
生命保険協会の税制改正の案内では、住民税の新制度の各枠は最高2万8,000円、全体は最高7万円という従来の扱いも確認できます。
保険の商品名に「医療」とあるかより、届いた控除証明書の「一般・介護医療・個人年金」の表示を見ます。
同じ保険の主契約と特約が別の区分になることもあるため、契約全体の月額をそのまま一般の欄へ入れないほうが安心です。
年8万円の保険料を変えなくても、控除は増える
まず、保険を増やさない例を見ます。
以下はすべて、新制度の一般生命保険料だけを支払い、23歳未満の扶養親族がいて、ほかの生命保険料控除による合計上限にかからない人の仮の試算です。
保険料は、割戻金などを差し引いた控除証明書上の対象額で考えています。
| 年間の新一般生命保険料 | 通常の計算による控除 | 特例の計算による控除 | 控除の増加 |
|---|---|---|---|
| 3万円 | 2万5,000円 | 3万円 | 5,000円 |
| 6万円 | 3万5,000円 | 4万5,000円 | 1万円 |
| 8万円 | 4万円 | 5万円 | 1万円 |
| 12万円 | 4万円 | 6万円 | 2万円 |
計算式は国税庁「生命保険料控除」で確認しました。
特例では、年6万円を超えて12万円以下の新一般生命保険料は「支払額×1/4+3万円」です。
年8万円なら、8万円×1/4+3万円=5万円。
通常の式では8万円×1/4+2万円=4万円なので、同じ保険料でも控除が1万円増えます。
税率10%の例なら、改正による税負担の減少は約1,021円。
これが増額しなくても受けられる効果です。
上限6万円という見出しばかり気になっとうと、この部分を飛ばしやすい。
必要な保障が今のままで足りている人は、今の契約を正しく申告するだけでもよいんです。
なお、ここは改正の影響を見るため、通常の式と特例の式を同じ保険料で比べた表です。
ほかの2026年の税制改正や年収の変化まで含めた、前年との年税額比較ではありません。
年8万円から12万円へ増やすと、追加節税は約1,021円
次は、2026年の特例を使う人が、年間の新一般生命保険料を8万円から12万円へ増やす例です。
通常の計算と特例を比べるのではなく、特例の中で保険料を増やす前と後を比べます。
年8万円の控除は5万円。
年12万円の控除は6万円。
追加で増える控除は1万円です。
| 追加の1万円にかかる所得税率 | 税負担が減る額の概算 | 追加保険料4万円から差し引いた支出増 |
|---|---|---|
| 5% | 約511円 | 約3万9,489円 |
| 10% | 約1,021円 | 約3万8,979円 |
| 20% | 約2,042円 | 約3万7,958円 |
表の節税額は1円単位で四捨五入し、支出増は4万円からその表示額を差し引いています。
所得税率は国税庁の速算表、復興特別所得税2.1%は国税庁「所得税のしくみ」をもとにしました。
10%の式は、1万円×10%×1.021=1,021円です。
これは税額控除の影響がなく、増えた控除の全額が同じ税率帯に収まる場合の概算。
実際の年末調整には端数処理があるため、還付額がこの数字とぴったり一致するとは限りません。
所得税率は年収に直接かける税率ではありません。
給与所得控除や基礎控除などを差し引いた「課税所得」で決まるので、年収だけを見て10%と決めないようにします。
この例では、住民税の新一般生命保険料控除は年8万円の時点ですでに上限に達しています。
そのため、年12万円へ増やしても、この増額による住民税の控除は増えません。
僕なら「保険を増やすと2万円の控除が増える」と説明されたら、まず比較の出発点を聞きます。
年12万円の保険料で通常の式から特例へ変わる差は2万円でも、特例の年8万円から12万円へ増やす差は1万円。
出発点が違うだけで、家計に残る金額の読み方も変わります。
6万円・4万円・4万円を足しても、合計は12万円まで
もう一つ、年末調整の計算で見落としたくないのが、合計の上限です。
一般6万円、介護医療4万円、個人年金4万円を足すと14万円ですが、所得税の生命保険料控除全体は最高12万円。
国税庁の2026年分の年末調整手順でも、この合計上限は変わらないと確認できます。
たとえば、新一般の保険料を年8万円払い、介護医療と個人年金の控除が各4万円あるケース。
特例の一般控除5万円を足すと13万円ですが、申告できる生命保険料控除全体は12万円です。
この人が新一般の保険料を年12万円へ増やすと、計算上は6万円+4万円+4万円=14万円になる。
それでも最終的な控除額は12万円のままです。
この条件では、追加保険料4万円による所得税の控除増加は0円。
減らす税金がないのに、「枠を使うため」の支出だけ増やさなくてよい。
一般の欄だけでなく、3区分を足した最後の欄まで見る理由はここにあります。
夫婦で使える場合も、保険料を二重には書かない
23歳未満の扶養親族がいる共働き家庭では、夫婦双方がこの特例を使える場合があります。
生命保険協会の案内にも、23歳未満の扶養親族が1人いる夫婦について、双方が拡充措置を受けられる例が載っています。
ただし、同じ保険料を夫婦で重ねて申告する意味ではありません。
国税庁の2026年分年末調整Q&Aでは、控除は実際に保険料を支払った人が受ける扱いを説明しています。
契約者の名前だけで決めず、誰が保険料を負担したかを確認する。
夫婦それぞれが対象となる新一般生命保険料を負担しているなら、それぞれの証明書と支払状況を整理します。
「税率が高い人のほうがお得だから」と、払っていない人へ自由に付け替えることはできません。
扶養親族の要件も、子どもが23歳未満という年齢だけで決まるものではありません。
原則としてその年の12月31日の現況で判定します。
生計や所得などの条件を含め、勤務先の2026年分の案内で確認してください。
僕はこの場面なら、先に夫婦の証明書を別々に並べて、支払口座やカードの記録を確かめます。
「どっちに書いたっけ」をなくすだけでも、提出前の迷いは減ると思います。
増額が不要な人は、証明書を1枚確認するところから
今の保障が足りている人に、節税だけを理由とした増額はおすすめしません。
23歳未満の扶養親族がいない人、新制度の一般生命保険料を払っていない人も、この記事の6万円特例の試算はそのまま使えません。
旧契約がある人は、旧契約だけで計算する場合と新旧を組み合わせる場合で扱いが違います。
この記事は新一般だけの比較なので、旧契約を混ぜて同じ表へ入れず、勤務先の計算欄や国税庁の案内を使ってください。
また、もともと所得税がかからない人や、住宅ローン控除などで所得税がすでに減っている人は、控除が増えてもこの記事の単純計算どおりに税金が減るとは限りません。
家族の生活に必要な保障が足りないなら、そこは節税と切り離して検討する。
控除枠を使い切るために保険を買うのではなく、必要な保険の税負担が少し軽くなる、という順番で見たいです。
年末調整の書類が届いたら、まず控除証明書の「新制度・一般」の年間対象額を1枚だけ確認してみてください。
次に、介護医療と個人年金の控除を足して12万円に届くかを見る。
最後に、その保険料を誰が実際に払ったかを確かめる。
最高額を使い切れなくても、それだけで損したわけではありません。
僕なら、今の保障で困っていないかを先に考えます。
節税の数字の後ろに隠れとう支出まで見えると、「今は増やさない」という判断もしやすくなるはずです。
年末調整全体の手順は年末調整で出す書類の整理、税率の前に差し引く項目は所得税の基本、保障を見直すときの考え方は生命保険の基本にまとめています。
本記事は2026年10月7日時点の公的資料に基づく一般的な制度の説明です。計算例は仮定であり、個別の税額や保険の必要性を確定するものではありません。最新情報は国税庁・勤務先の案内をご確認ください。