「副業の面接に申し込んだのに、途中から有料の研修を勧められた」。
そんなとき、何を確認して、どこで話を止めればいいのでしょうか。
この記事では、仕事を受ける契約と、講座を買う契約を分ける3つの確認点を整理します。
僕は、講座を受けること自体が悪いとは思っていません。
ただ、収入を増やしたくて応募した人が、気づけば大きな支払いを引き受けているなら、いったん立ち止まりたい。
「その仕事で払える」と言われても、仕事の報酬がまだ決まっていなければ、支出だけが先に確定するからです。
副業の面接が65万円の講座になった相談
国民生活センターは2026年9月16日、AI講座やSNS運用講座などのビジネス講座について注意喚起しました。
掲載された相談の一つは、副業の採用面接へ応募したところ、65万円の講座契約になり、解約を申し出ると事業者間の契約を理由に断られたというものです。
別の相談には、Web会議で説明を受け、総額100万円を超えるクレジットを組んだケースもあります。
出典:国民生活センター「ビジネス講座のトラブルにご注意」(2026年9月16日)
ここで紹介しているのは公表された相談事例で、僕自身の購入体験ではありません。
また、この事例だけでAI講座全体を詐欺と決めつけることもできません。
気をつけたいのは、AIという名前よりも、最初に聞いていた話と、お金を払う契約の中身が変わる瞬間です。
面接を受ける側のつもりで話していると、相手の質問に答えることが中心になります。
採用してもらうために、前向きな姿勢を見せたくなることもある。
その流れで「この研修が必要です」と言われると、講座を買うかどうかという別の判断が、採用の条件のように見えてしまいます。
僕なら、その場で説明を理解しきれる自信はありません。
だから、相手の説明を一つずつ論破するより、お金の流れる向きが変わったら、いったん会議を終えるという線を先に決めておきたいです。
確認① お金を受け取る話か、支払う話か
最初に確認するのは、報酬の額よりも契約の種類です。
「仕事の依頼」と「講座の販売」は、同じ人から説明されても別の話。
紙やスマホのメモに、次の2つを分けて書くと整理しやすくなります。
| 確認するもの | 仕事の契約 | 講座の契約 |
|---|---|---|
| お金の向き | 自分が報酬を受け取る | 自分が受講料を払う |
| 確認する中身 | 作業内容、報酬、支払日、仕事の発注条件 | 教材、指導範囲、受講期間、総額、解約条件 |
| まだ決まっていないと困ること | 仕事を何件受けられるか | 途中でやめた場合にいくら残るか |
「受講後に仕事を紹介する」という説明だけでは、仕事が必ず発注されるか、毎月いくら受け取れるかは分かりません。
紹介される可能性と、報酬を受け取る契約があることは分けて確認したい。
僕なら、「受講すれば収入になりますか」よりも、「仕事の契約書は別にありますか」「発注と報酬の条件を書面で確認できますか」と聞きます。
ただし、書面が出てきたから安心と決めるわけでもありません。
数量や条件が自分に読める形になっているか、持ち帰って確認するところまでがセットです。
講座で何を学びたいのかが決まっている人には、有料の学習が役立つ場合もあるでしょう。
反対に、仕事を探しているだけで、学びたい内容も費用も決めていない人に、その場の高額契約は必要ありません。
話の途中で目的が変わったなら、断ってから考えても遅くない。
それはやる気がないという話ではなく、違う買い物を始める前の確認です。
確認② 月額を、最後まで払う総額に戻す
「月々なら払えそう」は、家計では大事な感覚です。
でも、講座の価格を決めるには、月々の金額だけでは足りません。
見るのは、受講料と分割手数料などを含めた総支払額、支払回数、支払終了時期です。
ここからの数字は実際の商品価格ではなく、計算のための仮定です。
月2万円を36回払うなら、2万円×36回=72万円。
仮に受講料が65万円で、契約書の総支払額が72万円なら、差の7万円について、何の費用なのかを確認する必要があります。
これは手数料率の推計ではありません。
同じ「月2万円」でも、12回なら24万円、36回なら72万円と、引き受ける負担が変わることを示した計算です。
もう一つ、受講期間と支払期間を別に見ます。
仮に講座が6か月、支払いが36か月なら、受講後にも30か月分の支払い期間が残る計算になります。
受講が終われば支払いも終わる、と頭の中でつなげないこと。
ここ、月額の説明を聞いているだけだと隠れとう部分です。
国民生活センターも、月々の支払額だけでなく総支払額を確認し、長期間の高額なクレジット契約は慎重に検討するよう促しています。
僕なら、まだ手にしていない副業収入を返済の前提には置きません。
予定どおり仕事が来なかった月にも、今の家計から支払えるかで考えます。
将来の収入が足りなければ、食費や家賃などに使うお金から支払いを続けることになるからです。
副業の収入を考える段階まで進んだら、副業収入の考え方を整理した記事も参考になります。
ただ、税金の計算より先に、その仕事で本当に収入を受け取る契約なのかを確認したいです。
確認③ 「解約できます」の条件を読む
3つ目は、受講前に解約条件を読むことです。
「返金制度あり」という短い表示だけでは、自分が使える制度なのか分かりません。
確認したいのは、いつまでに、どんな方法で連絡し、どの条件を満たす必要があり、いくら返ってくるのか。
たとえば「途中解約できる」でも、残りの受講料が全部不要になるとは限らないし、契約上の返金制度と法律上の解除の権利も同じではありません。
ここは、言葉だけで頭の中に都合のよい空欄を埋めないようにしたいところ。
教材を開いたとき、動画を見たとき、個別相談を受けたときに条件が変わるのかも、契約前の確認項目に入れます。
僕なら、利用規約が見られないまま申し込み画面へ進む場合は、そこで止めます。
「あとで規約を送ります」なら、送られてきてから判断する。
読めない条件に同意する必要はありません。
仕事に必要な勉強を考えるなら、教育訓練休暇給付金と講座費用の違いを整理した記事もあります。
支援制度があるという話と、目の前の講座が対象になるという話は、別に確認してください。
Web会議だからクーリング・オフできない、とは限らない
オンラインの契約だから、すべて通信販売で解約できない。
そう決めつけないことも大事です。
国民生活センターは、Web会議を使った勧誘が、特定商取引法の電話勧誘販売に当たる場合があると説明しています。
電話勧誘販売に該当し、適用除外等がない場合、法律で定める書面を受け取った日から数えて8日以内は、書面や電子メールなどの電磁的記録でクーリング・オフできます。
ただし、Web会議を使った契約なら必ず8日間解約できる、という意味ではありません。
どう誘われたか、何のために会議へ参加したか、契約の目的は何かなど、実際の経緯を確認する必要があります。
事業者間の契約だと言われた場合も、僕がこの記事だけで適用の有無を判断することはできません。
相手の説明だけであきらめず、消費生活センターに経緯を伝えて相談してください。
契約書面が届いていない、内容が足りないと感じる場合も、日数だけで判断せず188に相談してください。
「8日過ぎたからもう何もできない」と、自己判断で相談をやめることも避けたいです。
消費者庁のガイドには、クーリング・オフを妨げる説明などがあった場合の扱いも示されています。
期限や解除の可否は個別の確認が必要なので、日数を数えることと相談することを並行させましょう。
契約してしまったら、188に伝えるメモを作る
不安なときの相談先は、消費者ホットライン188です。
居住地域の消費生活センター等につながる窓口で、相談は無料ですが、窓口につながった時点から通話料金はかかります。
相談するときは、話をきれいにまとめきる必要はありません。
まず、広告から契約までの順番が分かるメモを作ります。
- 応募した求人や広告の画面と、申し込み日時
- 面接・説明会へ誘われたメッセージ、Web会議の日時
- 相手から説明された仕事、報酬、講座の内容
- 契約書・利用規約・請求額・支払方法・契約書面を受け取った日
- 解約を申し出た日時と、相手の返答
画面が消える前に、求人のURLやメッセージも保存しておきたい。
手元に録音がなければ、覚えている言葉を、記憶であることが分かる形でメモします。
記録を作るために、相手と再び長い会議をする必要はありません。
カードやクレジットの支払いが絡むなら、契約先だけでなくカード会社・信販会社への相談が必要かも、消費生活センターに確認してください。
自分の判断で支払いを止める手順をこの記事が勧めるものではありません。
お金の負担が大きい話ほど、一人で相手の説明を受け続けないことが大事だと思います。
似た「いま決めて」という圧力の見分け方は、分電盤の点検商法の記事でも扱いました。
商品は違っても、必要性を考える時間を取り戻すという点は共通しています。
今日決めておくのは、買う講座ではなく断る一言
会議の途中で急に高額な話になると、丁寧に説明してくれた相手を待たせるのが悪い気がするかもしれません。
そこに「今だけの条件」が加われば、確認を後回しにしたくなる。
僕も、読んでいるときの冷静さを、その場で保てるとは思っていません。
だから、完璧な質問集よりも、口に出す一言を用意しておきたいです。
「今日は契約しません。契約書と総支払額、解約条件を送ってください」。
これで十分です。
話が止まらなければ、契約しない意思を伝えて会議を終了する。
将来のための勉強でも、家計から出ていくお金は現実の支出です。
取り戻した時間で、仕事内容、総支払額、解約条件の3つを見直してみてください。
不安が残る契約は、188へ相談するところからで大丈夫です。
本記事は2026年10月2日に確認した国民生活センター・消費者庁の公表情報をもとにした一般的な注意喚起です。特定の講座を詐欺と認定するものではなく、個別の契約の有効性、解約・返金の可否を判断するものでもありません。契約の経緯によって扱いが異なるため、公式サイトの最新情報と消費生活センターの案内をご確認ください。