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おカネのミカタ
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【10月1日】加熱式たばこが一律40円値上げ、税率は変わっていないのに

加熱式たばこの値上げは税率でなく本数の数え方が変わったことを示す図解

会社の昼休み、喫煙所から戻ってきた同僚が「またタバコ上がるらしいで」とぼやいていました。

僕はたばこを吸わないので、正直そこまで気に留めていませんでした。でも「税金上がったん?」と聞いたら、「いや、税金は変わってへんはずやのに値段だけ上がるんよ」という返事で、そこで初めて引っかかったんです。

税率が変わっていないのに、値段だけ上がる。そんなことがあるのかと思って国税庁と財務省の資料を確認したら、確かに「税率」の数字はどこにも変わっていませんでした。変わっていたのは、たばこの本数を数える計算式のほうでした。

今回は、2026年10月1日から始まる加熱式たばこの値上げの仕組みを、公式資料の数字で整理します。


10月1日、JTのプルーム全31銘柄が一律40円値上げ

まず起きていることを確認します。

JT(日本たばこ産業)は、加熱式たばこ「プルーム」用のたばこスティック全31銘柄について、2026年10月1日から一律40円の値上げを財務大臣の認可を受けて確定させました。

具体的な価格の変化はこうです。

全31銘柄、値上げ幅はすべて同じ40円です。1箱あたり月20箱吸う人なら、月800円、年間で9,600円の負担増になる計算です。

フィリップモリスジャパン(テリア・センティア等)とBATジャパン(nee・KENT等)も追随する価格改定を発表・申請していますが、こちらは本記事執筆時点でまだ財務大臣の認可待ちの銘柄が含まれているため、確定額は各社の公式発表を確認してください。

なのに「たばこ税」の税率は上がっていない

ここが今回いちばん整理したかった点です。

財務省・国税庁が公表している資料「加熱式たばこに係る課税方式の見直しについて」を見ると、1本あたりの税額そのものは変更されていません。変わったのは、加熱式たばこ1個が「紙巻きたばこの何本分」に相当するかを換算する式です。

国税庁の資料によると、新しい換算方式は次のとおりです。

たばこ税は「紙巻きたばこ換算で何本ぶんか」を基準に課税されています。加熱式たばこは紙巻きたばこより軽いため、これまでの換算式では実際の重さより少なめの本数として数えられ、結果的に税負担が軽くなっていました。今回の見直しは、この換算式を実態に近づける形に改めるものです。

しかも、この見直しは一気に切り替わるわけではありません。財務省の資料では、2026年4月1日に新しい換算方式の50%を適用し、2026年10月1日から100%を適用するという2段階方式が取られています。4月の値上げが「前半戦」、今回の10月が「後半戦」にあたります。

そもそも、なぜ加熱式たばこだけ税負担が軽かったのか

ここで少し歴史をさかのぼります。加熱式たばこという区分自体、実は2018年(平成30年)10月の税制改正で新しくできたものです。

それ以前は、加熱式たばこは「パイプたばこ」として扱われ、1gを紙巻きたばこ1本に換算するという、かなり緩い基準で課税されていました。2018年の改正で「加熱式たばこ」という独立区分ができ、0.4gを紙巻きたばこ0.5本に換算する方式に変わりましたが、それでも紙巻きたばこと比べると軽い税負担が続いていたとされています。

具体的には、加熱式たばこの税負担は紙巻きたばこの7〜9割程度にとどまっていたと財務省の資料でも指摘されています。今回の2026年4月・10月の見直しは、この長年続いてきた1〜3割の差を解消する、いわば「最終調整」にあたる改正です。

つまり今回の値上げは、突然降ってきた話ではなく、2018年から段階的に進んできた税負担の是正が、8年越しでようやく実質的な決着を迎えたということになります。

「増税」ではなく「換算のやり直し」という建付け

僕がこの資料を読んで面白いと思ったのは、財務省がこれを「たばこ税の増税」ではなく「課税方式の見直し」と呼んでいる点です。

税率の数字(1本あたり何円)はいじっていません。でも数える本数の基準を変えれば、同じ税率でも計算結果としての税額は増えます。読者の財布から見れば、増税と何も変わらないのに、制度上は税率改定という扱いにならない。

これは意地悪な話ではなく、そもそも加熱式たばこという新しい商品が登場したときに、紙巻きたばことの公平性をどう保つかという課題が背景にあります。加熱式たばこの税負担が紙巻きたばこより軽い状態が続くと、税制上の不公平が広がるため、段階的に是正しているという理屈です。

正直、僕はこの説明を読むまで「増税」と「換算方式の見直し」の違いを意識したことがありませんでした。でも家計への影響という意味では、呼び名がどちらであっても、財布から出ていくお金は同じだけ増えます。

加熱式たばこを吸う人が今日確認できること

吸っている本人にとって関係があるのは、次の3点だと思います。

  1. 自分の銘柄がJT・フィリップモリス・BATのどれかを確認する。値上げ額・時期がメーカーごとに違うため、JTの「一律40円」がそのまま自分の銘柄に当てはまるとは限りません。
  2. 2027年4月からは紙巻きたばこの税率そのものも引き上げ予定とされています。今回の見直しは加熱式たばこだけの話ですが、紙巻きたばこを吸う人にも近い将来の負担増が控えています。
  3. 買いだめは正直おすすめしません。たばこは保管中に品質が劣化しやすく、値上げ前に買い込んでも数十円の差額のために保存状態を犠牲にするのは割に合わない、というのが調べていて感じた率直な感想です。

たばこを吸わない人にも、実は関係がある話

僕自身はたばこを吸わないので、この記事は自分には関係ない話として調べ始めました。でも書き終えてみると、たばこを吸わない人にも共通する教訓があると感じています。

それは、「税率」という一つの数字だけを見ていても、負担が増えているかどうかは分からないということです。今回のように、数える基準(換算式)が変われば、表向きの税率が同じでも実際の負担は増えます。

これは社会保険料にも似たところがあります。保険料率が据え置きでも、保険料の計算のもとになる「標準報酬月額」の上限が引き上げられれば、対象になる人の負担は増えます。制度の変更点を見るときは、率そのものだけでなく、その率を何に掛けているかまで確認したほうがいい、というのが今回いちばんの気づきでした。

まとめ

2026年10月1日、加熱式たばこの値上げが本格化します。JTのプルーム全31銘柄は一律40円の値上げで確定し、他社も追随する見込みです。

その原因は税率の引き上げではなく、加熱式たばこの本数を数える換算方式の見直しです。2026年4月に半分、10月に全部が適用される2段階方式で、紙巻きたばことの税負担の公平性を是正する目的とされています。

「税率は変わっていないのに、支払う金額は増える」という今回の構造は、たばこに限った話ではありません。制度が変わったと聞いたときは、率だけでなく、その率が何に掛かっているのかまで確認する癖をつけておくと、思わぬ負担増に気づきやすくなると思います。

※たばこの価格・税制度に関する情報は変更される場合があります。最新情報は財務省・国税庁や各社公式サイトでご確認ください。


10月は他にも家計に効いてくる値上げが重なっています。あわせて確認しておきたい記事です。


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