子どもの進学が近づいてくると、「国の教育ローンと奨学金、結局どっちがいいんやろ」という声を、コメントやSNSでよく見かけます。
僕自身も、この2つの違いを説明できるかと言われたら、正直あやふやでした。
「どっちも国のお金を借りる制度」くらいの理解で止まっている人、けっこう多いんじゃないでしょうか。
調べてみたら、金利の高さが思っていたのと逆でした。
結論から書きます。
2026年7月時点で、国の教育ローンの基準金利は年4.05%。対して奨学金(第二種・有利子)の上限は年3.0%です。
「国のローン」のほうが、「奨学金」より金利が高い。
この記事では、公式情報をもとに両方の制度を整理して、実際にどう使い分ければいいのかをまとめます。
まず、この2つは「借りる人」が違う
金利の話の前に、もっと大事な違いがあります。
誰の名義で借りるか、です。
国の教育ローンは、保護者が申し込んで、保護者が返すお金です。
対して奨学金は、学生本人が借りて、卒業後に本人が返すお金です(給付型を除く)。
同じ「教育費を借りる」でも、あとで返す人がまったく違います。
ここを分けずに「どっちがお得か」だけで比べると、判断を誤ります。
国の教育ローンの中身(日本政策金融公庫)
正式名称は「教育一般貸付」といいます。日本政策金融公庫が扱っています。
公式サイトで確認できる、2026年7月時点の条件です。
- 金利:年4.05%(固定・令和8年7月時点)
- 優遇金利:年3.65%(ひとり親家庭・世帯年収200万円以内・多子世帯のいずれかに該当する場合)
- 融資限度額:子ども1人につき350万円(一定要件で450万円)
- 返済期間:最長20年
- 世帯年収の上限:子ども1人なら790万円、2人なら890万円、3人なら990万円(給与所得者の場合。事業所得者はやや低い基準)
金利は年2回、5月と11月に見直されます。
令和5年10月時点では2.25%だったので、この数年でかなり上がっています。
特徴は「まとまった額を一括で借りられる」こと。
入学金や前期授業料など、入学前に一度にお金が必要な場面に強い制度です。
奨学金の中身(日本学生支援機構・JASSO)
奨学金には3種類あります。ここを混同している人が多い印象です。
① 給付型:返済不要
住民税非課税世帯など、家計基準を満たす場合に支給されます。返す必要がありません。
② 第一種(無利子)
大学の場合、自宅通学は月2万〜5.4万円、自宅外通学は月2万〜6.4万円の中から選べます。利子はつきません。
③ 第二種(有利子)
月2万〜12万円の中から1万円刻みで選べます。入学時には一時金として10万〜50万円も選択可能です。
利率は貸与終了時に決まり、**上限は年3.0%**と法律で決まっています。
2026年度(令和8年度)の実績では、利率固定方式で2.722〜3.000%、利率見直し方式で1.874〜2.000%でした。
こちらもニュースになるくらい水準が上がってきていて、上限の3.0%に張り付く月が出てきています。
金利だけ見ると、優先順位はこうなる
同じ「教育費のための借り入れ」でも、金利は制度によって大きく違います。
安い順に並べると、こうなります。
- 給付型:0%(返済不要)
- 第一種奨学金:0%(無利子)
- 第二種奨学金:上限3.0%
- 国の教育ローン(優遇):3.65%
- 国の教育ローン(基準):4.05%
つまり、まず確認すべきなのは、自分の世帯が給付型や第一種の家計基準に当てはまるかどうかです。
当てはまるなら、そこが一番安い選択肢になります。
家計基準を満たさない、あるいは在学中の家計基準では足りない分を、有利子の第二種や教育ローンで補う、という順番が、総支払額を一番抑えやすい組み方です。
それでも教育ローンが選ばれる理由
金利だけ見ると教育ローンは不利に見えます。
それでも使われ続けているのには、理由があります。
申込みが1年中できて、入学前でもまとまった額を一度に受け取れるからです。
奨学金は在学採用・予約採用というタイミングが決まっていて、実際に振り込まれるのも入学後になることが多いです。
入学金や前期授業料の支払いに間に合わない、というケースが出てきます。
国の教育ローンは、この「入学前に一度に必要」という場面のための制度、と考えるとしっくりきます。
実際、金融機関のFPが勧める順番も、「無利子の枠から埋めて、入学前の一時的な出費だけ教育ローンで賄う」という組み合わせが多いようです。
今日、確認できること
制度を知っているだけでは、家計は動きません。
やることは1つです。
日本学生支援機構のサイトで、自分の世帯が「給付型」「第一種」の家計基準に当てはまるか、シミュレーションしてみてください。
年収の目安を入れるだけで、対象になるかどうかがすぐに分かります。
当てはまらなかった場合に、はじめて「有利子でいくら借りるか」「教育ローンと第二種、どちらで、いくら埋めるか」を考える。
その順番を守るだけで、卒業時に背負う利子の総額は変わってきます。
まとめ
- 国の教育ローンは保護者名義、奨学金(給付型・第一種を除く第二種)は学生本人名義の借り入れ
- 金利は、国の教育ローンが基準4.05%・優遇3.65%、奨学金第二種は上限3.0%(2026年度実績2.722〜3.000%)
- 一番安いのは給付型・第一種奨学金(どちらも0%)。まずここに当てはまるか確認する
- 国の教育ローンは、入学前にまとまった額が要る場面での一括調達に強い
- 使い分けの基本は、無利子の枠から埋めて、足りない分・入学前の出費だけを有利子で補う
どちらも「借りる」という重さは同じです。
でも、誰が返すお金で、金利がどれくらいなのかを分けて見るだけで、選び方はだいぶ変わってきます。
奨学金を実際に返してきた側の話は奨学金300万円を返しながら貯金した体験談に、大学の授業料そのものを抑える制度は修学支援新制度・大学無償化のまとめに書きました。
教育費全体の見通しを立てたい人は0歳から大学卒業までの総額と節約術もあわせてどうぞ。
本記事は、家計改善を実践する会社員が、日本政策金融公庫・日本学生支援機構(JASSO)の公開情報をもとに執筆しています。
本記事は2026年8月時点の情報に基づく情報提供です。金利は今後も見直される可能性があります。実際の融資条件・奨学金の家計基準は個人の状況により異なりますので、最新情報は日本政策金融公庫・日本学生支援機構の公式サイトをご確認ください。