Skip to content
おカネのミカタ
Go back

貯めたお金は、いつ使うんですか——資産7億円の桐谷広人さんの言葉から考える、お金の使いどき

貯めたお金は、いつ使うんですか

株主優待だけで生活するスタイルで知られる投資家の桐谷広人さん(76)が、2026年7月に闘病を公表しました。

そのなかで語られた言葉が、個人的にかなり刺さりました。報道によれば、意地を張らずにもっと現金を使って、美味しいものを食べたり温泉に行ったりすればよかった、という趣旨の後悔を口にしています。

資産7億円と報じられる方の言葉です。お金が足りなかったわけではありません。あったのに、使わなかったという話です。

私はこれを読んで、自分のことだと思いました。積立の設定額を上げることは何度も考えてきたのに、「いつ使うか」を一度も真剣に考えたことがなかったからです。

今回は、貯める話ではなく使う側の設計について整理します。


「貯める」だけが上手になっていないか

家計や投資の情報は、圧倒的に「貯める・増やす」に偏っています。私がこのブログで書いてきたことも、正直そちらに寄っていました。

どれも大事なのですが、これらは全部入口の話です。出口——つまり「貯まったお金を、いつ、何に使うのか」については、ほとんど語られません。

その結果、何が起きるか。貯めるのが上手な人ほど、使えなくなるという現象です。

節約や投資を続けていると、残高が増えること自体が目的になっていきます。減らすことに抵抗が生まれる。これは意志が弱いとか強いとかの話ではなく、何年も「増やす」訓練をしてきた結果として、そうなるという話です。


なぜ「そのうち使う」は永遠に来ないのか

「いつか使う」「余裕ができたら使う」と考えている人は多いと思います。私もそうでした。

でもこの考え方には、構造的な問題があります。「余裕ができた」と感じる基準が、資産と一緒に上がっていくからです。

100万円貯まったときには「1,000万円あれば安心」と思い、1,000万円貯まると「老後を考えると3,000万円は要る」と思う。ゴールが逃げ続けるので、いつまで経っても「今が使いどきだ」という日が来ません。

さらに厄介なのが、健康と時間には期限があるという事実です。お金は後からでも増やせますが、「元気に旅行できる年齢」は後から取り戻せません。

桐谷さんの言葉が重いのは、期限のほうが先に来ることがあると、当事者として指摘している点だと思います。


「使う」を先に決めておく3つの方法

では具体的にどうするか。私が実際に試して、機能していると感じているものを挙げます。

①「使う用のお金」を先に分ける

給料が入ったら、貯蓄・投資に回す前に、使うことが目的のお金を別口座か別枠に取っておきます。金額は月5,000円でも構いません。

大事なのは、これを「余ったら使う」ではなく「使うために確保する」順番にすることです。余りは絶対に出ません。先に取るしかないです。

②「何に使うか」を具体的に書いておく

「たまには贅沢する」のような曖昧な目標では、結局使えません。

このくらい具体的にすると、そのとき残高が減っても「予定どおり」と思えます。罪悪感が減るのが最大の効果です。

③ 使う年齢を決めておく

これは老後資金の話です。「何歳から、年間いくら取り崩すか」を決めていないと、いくら貯めても不安は消えません。

取り崩しの考え方はNISAの売り方・取り崩し方——老後に備えたNISAの賢い出口戦略に整理しています。出口を決めておくと、逆に「今使っていい額」もはっきりします。


ただし「使え」という話ではありません

ここは誤解されたくないので、はっきり書きます。

貯めることが間違いだった、という話ではありません。

桐谷さんが資産を築けたのは、長年にわたって規律を守ってきたからです。その規律がなければ7億円という数字はありません。生活防衛資金がない状態で使うことを優先したら、それはただの浪費です。

貯める順番そのものは変わりません(この順番については貯金と投資、どっちが先?に書いています)。

今回の話は、その順番のさらに先に、もう1段階あるということです。

  1. 高金利の借金を返す
  2. 生活防衛資金を貯める
  3. 投資する
  4. ← ここに「使う設計」が抜けている

3で終わりだと思っていた人(私です)にとって、4があると知ることが今回の要点です。


老後まで待たなくていい

「使うのは老後でいい」と考えている人にも、一つだけ数字の話をします。

老後にいくら要るかは、想像より個人差が大きいです。実際に自分の条件で計算すると、必要額が思っていたより小さいケースは珍しくありません(老後2000万円問題、本当に2000万円が必要なのかを自分で計算してみたに計算例を書いています)。

必要額が見えると、「今使っていい額」も見えます。逆に言うと、必要額を計算していないから、いくら貯めても不安で使えないわけです。

不安の正体は金額ではなく、計算していないことだったりします。


今日やる1つ

長くなったので、1つだけに絞ります。

次の給料日に、金額を決めて「使うためのお金」を先に取り分けてください。

月3,000円でも5,000円でも構いません。そして、それを何に使うかを1行書いておく。それだけです。

投資の設定を見直すより地味ですが、「貯まったのに使えない」という状態を防ぐには、これが一番効きます。

桐谷さんは現在も治療を続けながら、ご自身の言葉で発信を続けておられます。回復を願うとともに、この問いかけを受け取った側として、自分の使いどきを一度考えてみようと思いました。


本記事は、NISA・家計改善を実践する会社員が、自身の経験と報道機関の公開情報をもとに執筆しています。桐谷広人さんの発言内容は2026年7月の各種報道に基づく要約であり、発言の一言一句を再現したものではありません。

本記事は2026年8月時点の情報に基づいています。資産の取り崩し方や必要額は個人の状況によって大きく異なります。投資判断はご自身の責任で行ってください。


Share this post on:

Previous Post
【続報】食料品の消費税1%が閣議決定——先週まで「未定」だった話が、どこまで決まったのか整理する
Next Post
【住信SBIネット銀行が消えた】昨日から「ドコモSMTBネット銀行」に社名変更——SBIは完全に抜けていた、口座を持つ人が確認すべきこと