仕事中に階段で転んでケガをした、通勤中に自転車で転倒した——そんなとき、「健康保険で病院に行けばいいか」と思っていませんか。実はそれ、間違いです。
仕事中・通勤中のケガや病気は、健康保険ではなく「労災保険(労働者災害補償保険)」で補償されます。しかも労災は、治療費は原則タダ、休業中は給料の約8割と、かなり手厚い。知らずに健康保険で処理すると、受けられるはずの補償を取りこぼします。
この記事では、労災保険の中身と申請の流れを、会社員向けに整理します(2026年時点の制度)。
労災保険とは
労災保険は、労働者が仕事中(業務災害)や通勤中(通勤災害)にケガ・病気・障害を負ったとき、または亡くなったときに給付される国の保険です。
- 保険料は全額会社負担(労働者の負担はゼロ)
- パート・アルバイトを含め、雇われて働く人はほぼ全員が対象
- 正社員かどうか、加入手続きの有無に関わらず、労働者であれば補償される
「自分は入っているっけ?」と心配する必要はありません。雇われて働いていれば、原則として労災の対象です。
健康保険との大きな違い
ここが重要です。仕事・通勤が原因のケガは、健康保険では治療を受けられません(労災が優先)。そして労災のほうが、補償が手厚いのです。
| 健康保険 | 労災保険 | |
|---|---|---|
| 対象 | 業務外のケガ・病気 | 仕事中・通勤中のケガ・病気 |
| 治療費の自己負担 | 原則3割 | 原則ゼロ(無料) |
| 休業中の給付 | 傷病手当金(約3分の2) | 給付基礎日額の80% |
仕事中のケガを「面倒だから健康保険で」と処理してしまうと、本来タダの治療費を3割払い、休業給付も少なくなる。きちんと労災で処理するのが、自分の損を防ぐ第一歩です。
労災のおもな給付
労災にはいくつかの給付があります。代表的なものを挙げます。
療養(補償)給付——治療費が自己負担ゼロ
労災指定の病院で治療を受ければ、治療費は原則かかりません(窓口負担ゼロ)。指定外の病院でも、いったん払って後から全額が戻ります。健康保険のような3割負担がない、というのが大きな違いです。
休業(補償)給付——休んだら給料の約8割
ケガ・病気で働けず給料が出ないとき、**休業4日目から、給付基礎日額の80%**が支給されます。内訳は「休業(補償)給付60%+休業特別支給金20%」。
傷病手当金(業務外の病気で約3分の2=約67%)と比べても、労災の80%は手厚い。しかも期間の上限が基本的になく、治るまで(または症状固定まで)受け取れます。
そのほかの給付
- 障害(補償)給付:治療後に障害が残ったとき
- 遺族(補償)給付:労働者が亡くなったとき、遺族へ
- 傷病(補償)年金:療養が長期化したとき
ケガから障害・死亡まで、幅広くカバーするのが労災の特徴です。
申請の流れ
労災の手続きは、基本的に会社を通じて労働基準監督署に行います。
- ケガ・病気をしたら、まず会社に報告
- 労災指定の病院で「労災で受診したい」と伝える(治療費を立て替えずに済む)
- 所定の請求書(様式)に、会社や医師の証明をもらって労基署へ提出
- 審査を経て給付
会社が手続きに協力してくれるのが通常ですが、もし会社が労災を渋る場合でも、労災は労働者の権利です。会社の証明が得られなくても、労働者本人が労働基準監督署に直接相談・申請できます。困ったら、まず最寄りの労基署に相談してください。
よくある質問(FAQ)
Q. 通勤中のケガも労災になる?
A. なります。自宅と職場の合理的な経路での通勤中のケガは「通勤災害」として労災の対象です。ただし、途中で大きく寄り道(私的な用事)をした場合は対象外になることがあります。
Q. 会社が「労災を使うな」と言ってきたら?
A. それは認められません。労災は労働者の権利で、会社が拒む(いわゆる「労災隠し」)のは違法です。会社の協力が得られなくても、本人が労働基準監督署に申請できます。まず労基署に相談しましょう。
Q. パートやアルバイトでも対象?
A. 対象です。雇用形態に関わらず、雇われて働く人は労災保険の対象になります。労災保険料は全額会社負担なので、労働者が保険料を払っていなくても補償されます。
Q. 労災の給付に税金はかかる?
A. かかりません。労災保険の給付は非課税です。
まとめ
- 仕事中・通勤中のケガ・病気は、健康保険ではなく労災保険で補償される
- 治療費は原則ゼロ、休業中は給付基礎日額の80%(傷病手当金の約67%より手厚い)
- 保険料は全額会社負担。パート・アルバイトも対象
- 申請は会社経由が基本だが、会社が渋っても本人が労基署に申請できる
- 給付は非課税
「仕事中のケガくらい自分で…」と健康保険で済ませると、受けられる補償を取りこぼします。仕事・通勤が原因なら、迷わず労災。これは会社員(働く人)の正当な権利です。
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本記事は、NISA・家計改善を実践する会社員が、自身の経験と公的機関の情報をもとに執筆しています。
本記事は2026年時点の制度に基づいています。労災保険の給付内容・要件は改正される場合があり、個別の状況によって異なります。最新かつ正確な情報は、厚生労働省・お近くの労働基準監督署の公式情報をご確認ください。